講演録『誰にも話せなかったセックスの話』Part1
誰にも話せない話って何なんだろう?私って変わってるのかな、こんなこと考えているのは私だけかな?セックスってみんなどうしてるんだろう? 性の話にオープンな4人の専門家が、あらゆる角度からそれぞれの「性」を語ります。
2018年9月30日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション5C
▼登壇者情報
スピーカー/
ハートリー 明子
Body Mind Organic Consulting Inc.
中島 雅美
Love Guide Messenger / エッセイスト
鳴神 恵美
スーパーバイザー
山崎 明美
セクシュアルヘルス・コンシェルジュ&大学教員
質問家/
塩見 恵美
パートナーシップ研究家
本当は話したいのに、なぜ「性」の話は誰にも話せないの?
塩見 恵美(以下、塩見): 「誰にも話せないセックスの話」というテーマで、4人のスピーカーの方にお伺いしていきたいと思います。誰にも話せない……、どんなことだと思われますか? 思いついた方からどうぞ。
ハートリー 明子(以下、ハートリー): 卑猥(ひわい)なこと。
例えば”タブー視されていること”かな、不倫とか。日本ではバッシングがすごいじゃないですか。海外では不倫なんて誰も気にしてないですよ。そういう”タブー視されていること”とか、”セックスレス”とか、普段は誰にも言えないじゃないですか。そういうことかな、と思いつきましたが……
ハートリー明子
Body Mind Organic Consulting Inc.
https://bodymindorganic.com2006年9月、 語学留学のため、カナダ・バンクーバーへ単身渡る。翌年、バンクーバーのバス停で、カナダ人男性と運命的な出逢いの末、電撃結婚。その後、バンクーバーに本拠地を移し、在バンクーバー日本国総領事館に約7年従事する。
現在は、日本とカナダ両サイドの社会経験を生かし、グローバルな視点で見た日本人女子達へ”もっと欲張りになって、本当に心が満たされる生き方”を実践してもらうことをミッションとした、グローバルな愛され女子育成プロジェクト「E-LOVE LEARNING」を通して、世界中の女性達の幸せのために日々邁進中。
女性にとって、一生を左右する最愛のパートナーとの出会いを引き寄せる方法論はもちろん、行動心理学とコーチングの理論をベースに、一人一人の「QOL Quality of Life」を高めていくライフスタイルを提案。著名人のバンクーバー講演会主催や、グローバルに活躍したい方々を応援するための出逢いの場を提供する活動にも力を入れている。
鳴神 恵美(以下、鳴神(鳴ちゃん)):最初このテーマを見たときに「誰にも言えないことって何かな?」と考えたら、すごく”マニアックな好み”ってあると思うんですよね。何をされたら嬉しいかとか、体を触れられるのもそうだと思うんですけど、そういうことって友だちにはあんまり話さないですよね。自分とパートナーの間でお互いに何をしたら気持ちいいのか、会話し合って育んでいく行動だから、それかなーと思ったんですけど……(中島(りんごろ)を見て)どう?
鳴神 恵美
スーパーバイザー
どんな時も質問が、取り巻く人間関係を大きく変えたと思います。
普段は結果を求められる男性社会で、快適に楽しくスーパーバイザーの仕事をしています。パートナーとは、心に光を灯し、互いの人生を彩る関係性を時を重ねて、築いてきました。自分を知り、役割を認めることで、自分自身も、周りも幸せになる好循環を生み出しています。
中島 雅美(以下、中島(りんごろ)):誰にも言えない……、誰も言えないからこそ、研究心を煽(あお)られるというか、自分の中で見つけていくことが答えなのかな、と思っていて。だからこそ、誰かによって共感してもらおうとは思ってない話なのかなぁー。ただ自分の中ではすっごい気持ちいい、自分完結で終わるという感じかな……。
中島 雅美
LoveGuide Messenger/エッセイスト
https://ringoro.jp/本音に素直に。さまざまな体験をもとに心の根っこと繋がり、自分の感覚を研ぎ澄ますサポートをしています。
毎日ふと感じたことを綴るBlogger《運命変えちゃう!素直力》Blog管理人
山崎 明美(以下、山崎):私は普段看護師というか保健師なので、相談を受ける側なんですよね、誰にも話せない相談を。割とよく受けるのは、「セックスしたいけどできない」「夫のことは好きなんだけど欲求を受けられない」「応えられないので辛い」とかなんですね。あと更年期になって女性の体が変化すると、セックスがしにくくなるんですよね。そういう場合はどうしたらいいかとか。
男性の友人たちからは、メタボリックシンドロームとセックス能力って関わっているので、「この頃ちょっとできなくなったんだけど、どうしたらいいか」とか、そういうことがこのタイトルを見たときに頭にパッと浮かびました。
山崎 明美
セクシュアルヘルス・コンシェルジュ&大学教員
http://akemi-yamazaki.com/なぜ「性」はそんなに特別なことなのか、とある時、思いました。子どもの頃だったと思います。なんとなく雰囲気を読んでいたのでしょう。
大人になって、「性」のあれこれを学び、「性」は生きる根幹であり、生き方に深く影響すると確信し、単に性行動に留まらない、包括的な「性の健康」を提唱、現在は大学教員として、当事者性を重視したワークショップ形式で、「性教育の企画」や「性との付き合い方」を提供しています。
中島(りんごろ):でも(山崎には)話せてるじゃんね。
ハートリー:”相談”ね。
山崎:人のいないところで聞くからね。
中島(りんごろ):普通では話せないけれども……、誰かには話せる。
ハートリー:話せるのはこういう専門家なのかなー、多分ね。
鳴神(鳴ちゃん):話したいんだよね。本当は話したいんだよね。問題として思っているんだもんね。だから誰かに相談したい。
山崎:うんうん。そうですよね。それはあるかもしれませんね。
鳴神(鳴ちゃん):相談したらスッキリして帰られるんですか?そういう方って。
研究するのが好きだから、”裸エプロン”を試してみたら……
山崎:私は今、セッションとして(相談を)受けてはいないんですけれども、やっぱり相談してくるにはハードルがあると思うんですよね。
だから、例えば講座で「更年期の体の変化の話」をしたあと、「ちょっといいですか?」って来て20〜30分話したり、(講座という)入口が必要という感じです。ずっとセクシャルヘルスをやってると、とにかく”性”というだけで壁を感じる人が多いと思います。その辺は(皆さん)どうですか?
ハートリー:多いですね。私はオンラインで、インターネットでやってるので、その垣根は低いんですよね。動画で一方的に私のことを知っていただいて、信頼していただいて、「実は私………(てんてんてん)」みたいなのが「がーーーっ」って(送られて)きますから。
みんな心に傷を負ってるんですよね、幼少期とかね。なので、そこからずっと引きずってる。 みんな実はもっと愛されたいし、変態になりたい。けど、なれない。
だからりんごろの変態さ、追求を見習ってほしい。すごいもんね、探求心が。そこら辺は私なんかより全然すごい!
中島(りんごろ):うん。相手に対してはオープン。
ハートリー:裸にエプロンだもんね。
中島(りんごろ):そうですそうです。”裸エプロン”を試したことがあるというね(笑)。
ハートリー:すごいよねー!裸エプロン!
中島(りんごろ):毎日、帰ってくる彼が疲れた顔をして、しんどそうな日が続いたときに、なんか笑わせたり、なんか明るい気持ちにできないかなっていろんなことを試した中の1つが、”裸エプロン”。
全員・会場:(笑)
中島(りんごろ):でも功を奏さなかった(笑)。
それはちょっと違っていた。彼の場合はね、それじゃなかった。驚かれただけだった。
ハートリー:(会場に向かって)ちょっと男性陣に聞きたいです。
「”裸エプロン”嬉しいですかー?」
(何人か手をあげる)
あ~~~!ほら、やっぱり変態の人いる!
中島(りんごろ):いろいろやって、彼の新しい反応を知りたいんですよ。
ハートリー:ああ~確かに確かに。
中島(りんごろ):彼はここオッケーかな?だめかな?ダメだったから、喜ばれなかったから嫌われた、じゃないんですよ。「このパターンは今の彼には合わないんだな、どういうときだったら受け入れられるのかな?」というのをいちいち研究するのが好きなの。
中島(りんごろ):ずーーーっと好きなの。年数を追うごとにずーーーっと好きになっていくの。飽きていくというのがよくわからない。
ハートリー:相手に?
中島(りんごろ):そうそうそうそう。もっと研究をし尽くしたいのよ!
ハートリー:すごい変態じゃん(笑)!
中島(りんごろ):そうそうそうそう(笑)。
ハートリー:素晴らしいですね、それ。
中島(りんごろ):そういうとこない?
ハートリー:(山崎を見て)ある?
女子トーク炸裂!みんなの明るいセクシャル談義を大公開
山崎:私は、あーあります、ありますけど……。
そうですね、30代ずっと一緒にいたパートナーは、”性”のことを2人で語り合っていくタイプだったんですよ。それまでの人は、そこまででもなかったんですね。でも「語り合おう」ということで、「恥ずかしいことじゃないから」ということで、なんていうか~ね~(照れくさそうに)、”(男性の)自分のもの”にニックネームをつけたりして。
全員:お~~~(爆笑)!!!
ハートリー: かわいいかわいい(笑)!何て名前?
山崎:彼の名前をもじってとか(笑)。明るいセクシャル談義をよくしていました。ちょっとその人ハゲてもいたんだけど。
ハートリー:あら、ハゲ丸!(ハートリーのだんな様のニックネーム)
全員・会場:(笑)
山崎:ハゲの話も2人で「どんなハゲがいさぎ良いか」とか。
全員・会場:(爆笑)
山崎:セックスはどうしたいとか、結構シンプルに話してたので、そういうのが良かったですね。
ハートリー:いいですよねー。
山崎:その人は亡くなってしまったので、パートナーが変わると本当に「人っていろいろなんだなー」と思います。控えめな男性もいるのでね。そうすると、りんごろみたいに(裸エプロンで)驚かせないように……(笑)。
中島(りんごろ): うちも長い年月一緒にいて、急に”裸エプロン”になったわけじゃないから(笑)。
ハートリー:鳴ちゃんはすごいオープンでしょ?
鳴神(鳴ちゃん):オープンですね。
マニアックなのをお互いに追求するし、私はだんだん好きになっていくタイプなんです。彼は普段は一緒に買い物とかしてても、どっちかって言うと亭主関白というか「俺が!俺が!俺についてこい!」みたいなところが若干あるんですけど、まぁセックスしたら「かわいい〜子犬」みたくなっちゃう(笑)。
全員:あはははは~~~(大爆笑)!
鳴神(鳴ちゃん):かわいいなーと思って。
山崎:普段は俺!俺!が(笑)。
鳴神:そうです。かわいい~子犬みたくキャンキャンなっちゃうんです。
そういう”ギャップ萌え”ですよ!
女子も”ギャップ萌え”しちゃいますよね。普段の強い彼も大好きだし、かわいい子犬みたいな彼も大好きだし、ますますはまりますよね。この人のもっと知らない一面が見たいと思うし、その顔を見せてもらえる自分になりたいと思うし、自分自身もすごい磨こうと思うし、だからいろんな本を読んで研究しちゃいますよね。
塩見: 今みたいに(相手が)応えてくれる場合はね、そういうふうにどんどん研究が進むと思うんですけど、先ほどりんごろさんは応えてもらえなかった……
塩見 恵美
パートナーシップ研究家
http://aisare-tuma.com長女はLD(学習障害)があるが、現在アイドルとして全国を飛び回り精力的に活動中。次女は不登校中だが、海外へホームステイしたり、国内の起業体験キャンプに1人で参加したりと前向き。そんな個性的な2人の娘を育てながら、自身は夫婦関係のカウンセリングを行っている。
この世の中を、老後も手をつないで微笑みあえるような夫婦でいっぱいにするのが目標。
塩見:女性って私も割と勇気を出して言うんですけど、応えてもらえなかったら、たぶん「グサ―ッ」ってなっちゃうと思うんですよね。
中島(りんごろ):いや、もう、あのー、お笑いがウケなかったときと一緒です。
「これはすべったパターンだから次変えなきゃ!」と思って急いで幕を引く! 「これじゃないんだ~!」と思って、「着替えてきまーす!」みたいな。
会場:(大爆笑)
中島(りんごろ):いちいち傷つく必要はないというか、もう「一緒にいる」「好き」っていうのは変わらないと思ってるので、その上での研究なのね。だから「これはダメだった」「じゃあ、もっといいのはなんだろう?」って次に失敗パターンをやらなきゃいいわけで。違う場面でこのパターンが入るときもあるから、こういうときはダメなんだ、彼が元気なときはOKかも、今日は疲れてるからダメなんだ、どっちも試さないとわからないから「ちょっとノッている元気なときもう1回やろう!」と思って取っておきます。
塩見:”裸エプロン”も2回試してみる?
中島(りんごろ):3回くらいは必ず(笑)。そんなにパターンっていっぱい無いので、取っておきます。元気なときはどうかな?みたいな感じで(笑)。全部彼を知りたいの。
塩見:知るための研究。
中島(りんごろ):そうそう、そのための1つ。
だんだんセックスレスに……でもやっぱり自分の欲求に素直になりたい
ハートリー:傷つかないというか、ここら辺の話を聞いてもあまり面白くないと思うんで。……というのは(りんごろは)上級者なんですよ。研究しすぎてるから。
みんなが聞きたい話がわかんないんですけど、私のところに駆け込み寺で来てくださる方って、だいたい最初はもっと入り口なんですよ。”おセックスを研究”とかいうレベルの前の段階で、「セックスを拒否している」「セックスレスで男性が応えてくれない」「自分は変態になりたい!愛されたい!でも……」という感じなんですよ。だからハイレベルな話じゃなくて、最初のこういう段階の人にはどんなアドバイスされますか?
中島(りんごろ):いや、私も、もちろんこういう段階から始めていったから……(笑)。
ハートリー:そうだよね。
中島(りんごろ):子どもたちがいたから、だんだんセックスレスになっていくけど、自分はやっぱり”触れ合いたい”という欲求があったんです。性欲だけではなくて仲良くなりたいの。会話だけじゃなくて体の距離も縮められたらいいという1つで始めて、だんだんそれがマニアックになっただけで。”最初は自分の欲求に素直になっただけ”。
「私はもう少しこういうふうにしていきたい」ということを話しながら、徐々に上げていったら全然傷つかないんだなというだけで。
塩見:その最初の段階というのは、まず何から始めたらいいと思いますか?
セックスが最近ちょっとできていない、セックスレスって言われてる、私たちはそういう夫婦だっていう場合に、まず何から?
ハートリー:だいたいそういう人って、答えを言っちゃいますけど、「自分は愛される価値がない」と思っているんですよ。
そこの潜在意識が表面化して、相手にそうさせてるだけなんですよね。結局は自分なんです。”相手が鏡”とよく言いますけど、女子は結構多いですよね、価値を認めていない人。自分は愛されて当然だと言えます? 言えない人多いですよ。
塩見:(会場に向かって)「この中で私は愛されて当然だ!と思われている女性、手をあげてみてください!」
ハートリー:あーすごい嬉しい。手あげてくれてる!
塩見:あ、でもやっぱり少ないですよね。
ハートリー:(会場に向かって)「セックス大好き!って言える人います?」
(中島(りんごろ)、鳴神(鳴ちゃん)元気に手をあげる)
ハートリー:あーいるいるいる!
セックスじゃなくてもいいんですけど、「自分を大切にする」「自分を大事にする」「自分がやりたいことをさせる」「自分の魂が求めていることをさせる」、あとさっきのりんごろの「欲求を満たしてあげる」というところからやると、結構ね、目の前が変わってきたりするんですよ。
山崎:それはだいたい何歳ぐらいの人が多いんですか? 相談してくる人は。
ハートリー:30代、40代の独身の人もいれば、夫婦の人もいて不倫の人もドロドロの人もいます。まあでもそれをジャッジしてないんです。「どんどんやりたいように、言いたいように言って下さい」と言っています。
塩見:やっぱり根底に「これをしてはいけない」とか、「何々でなくてはならない」というのがあるとハードルが高くなるのでしょうか?
ハートリー:そうですね、だいたいみんな「制限・ブロック・ブレーキ」で生きているんです。日本に住んでいる人は多いですよね。知らず知らずにブロックをつくっていて、”セックス”のことなんて話すところもないし、男の人がみんな AV(アダルトビデオ) で学びすぎなんですよ。
ハートリー:男の人に言いたい! AV、 日本の AV とか最悪ですよ、あれ。だってあれって男性が射精するためだけにつくってるじゃないですか。なので、いかなくてもいいという、根本の大前提を変えないと日本の性社会って良くならないと思うんですよね。すごいこと言ってます? 私。
塩見:じゃあ海外の(AV)は違うんですか?
ハートリー:(きっぱり)いえ、一緒です!
会場:(爆笑)
ハートリー:女性向けの(AV)も出てきてるんですよ。女性目線の AV っていうか、ビデオね、エロいの出てる。
塩見:そういうのはどこで探したら見つかるんですか?
ハートリー:エロいところサイトで。でもそういうところも行けないですよね、みんなね。女性専用のとか探すとあるんですけど……
塩見:女性専用の?
ハートリー:エッチななんちゃらとか。
塩見:検索すると出てくる。なるほど!
中島(りんごろ):いま人気の人とかいるんだよ!
ハートリー:いるよね、何だっけ?そういう人。 AV 男優じゃなくて何だっけ?
中島(りんごろ):そうそうそう!何だっけ?
ハートリー: エロメン(笑)!
中島(りんごろ):そうそう、エロメン!
ハートリー:ずっと”チュウ”してるんですよ。 はよやれよ!みたいな(笑)。早く本番は?みたいな(笑)。
私も、もぞもぞするみたいなのがずっとチュウしてる。男の人ってチュウ好きな人と嫌いな人と分かれると思うんですけど、チュウしたいんですよね、女の人ってだいたい。
(山崎を見て)ねっ!
山崎:そうですね。(照)
(パート2へ続く)
写真記録チーム/田島聖子、多賀 健、猪野裕介
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