まずは自分自身の「好き」を大事に。そうすることで出会えた、仕事を超越するほど至福を感じられる「やりたいこと」。

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講演録『周りに流されない自分スタイルの作り方』Part1


好きなことをとことん追求する。そのプロセスも三者三様。仕事とは、歓びや楽しさを与えてくれる時間を忘れるほどの至福の時間となっているという3人のスピーカーが登壇。仕事が好きすぎて病気にならない?とはどんな境地なのでしょうか。3人が語るディープな世界へようこそ。

2018年9月30日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション4A

 


▼登壇者情報

スピーカー
八納 啓創
建築家

都竹 正義
理 美容師 or 人生がときめく魔法のカット人

宗像 誉支夫
パン職人

質問家
みちの えみこ
笑顔ライフ★プロデューサー、姿勢科学の専門家(姿勢調整師)


 

変人、変態、三者三様マニアな人生

みちの えみこ(以下、みちの):実は昨日、こちら3人の組み合わせが決まりまして、難しいお名前の方ばかりだと思って(笑)、先ほど読み方から確認させていただいてたんです。

さっき、控え室で、「なんでこの組み合わせなんだろうね」というのをみんなで疑問に思っていたところなんです。マツダミヒロさんがいろんな繋がりの中で組み合わせ考えていただいたセッションなんですけど、今日はよろしくお願いいたします。

会場:(拍手)

みちの:『周りに流されない自分スタイルの作り方』ということでやっていくんですけど、今日みなさんお集まりいただきまして、「自分がどう周りに流されない自分スタイルを作れるかな?」だったり、「ここにいらっしゃるスピーカーのみなさんが、そういった自分スタイルをどう確立されてるのかな?」というところに興味があっていらっしゃったと思うんですけど、私自身もその辺を聞いてみたいなと思っております。

私が(スピーカーの)プロフィールから考えた共通点というものがありまして。
みなさん何かを作ることだったり、お客さまと関わることで人を変えたり、もしくは自分が変わるのかもしれないですけど、そういった何か関わったり、作ったりといったことをお仕事にされているんだなと思います。

”自分スタイル”といってもいろんなものがあると思うんですが、2つあると思っていて、1つは自分自身のスタイル、あとはお客さま自身のスタイルというのがあると思うんです。まずは自分自身のスタイルについてちょっと考えてみたいなと思います。

みなさん、どういった経緯で今のお仕事をされているかを聞いてみたいと思います。
それでは、宗像さんからいいですか?

しつもんカンファレンス2018

宗像 誉支夫
http://www.munakatado.com/


発酵、陶器、パン、デモクラティックスクール、出版、発酵研究所と順調に進化し続けるパン屋を経営。人生は「学び合う共演だ!」との確信が深まる日々を過ごしている。食に関わるいろんな方達とのコラボが楽しい今日この頃です。

宗像 誉支夫(以下、宗像):はい。短い時間で語り尽くせないくらい、いろんなことがこの人生であったんですけど(笑)。かいつまんで申しますと……、ぼくは福島県郡山市の生まれなんですけど、20歳の時に妹が病気になりまして、それを解決したいという欲求がものすごくぼくの中に生まれて、それで日本一の病院を探したり、民間療法を勉強したりしたんですね。

で、「今自分にできることは何か?」と考えたときに、分子生物学が今の科学の中でいちばん進んでいるんじゃないかということで、いろいろ世界中の大学とか調べたんですけども、なかなかうまくいかない。というときに、沖縄でちょっと微生物の研究というものに出会ったんで、まずはそれを一目見てから……っていう話をしているとすごく長くなりそうなので…

会場・みちの:(笑)

宗像:ぼくはまず微生物を研究しに沖縄に来たんです。そしたら真剣にやりすぎまして、ほぼ追放みたいになっちゃったんです(笑)。

それから陶芸家の先生に拾っていただいて、3年間陶芸を修行します。陶芸も一生懸命やってしまうと、やらせていただいてる仕事とやりたい仕事の間にギャップが生まれまして、そのストレスによって喘息になってしまったんです。

喘息で困り果てているときに、知人からパンを焼く方法を紹介されて、パンと出会うんですけど、そこから自分で作ってみたら「美味いじゃないか」って、自分の作ったパンにはまるところからスタートして、現在で18年…、19年くらいになります。で、今はパン屋が今年15周年を迎えました。

(パン屋の)近隣の施設に発酵研究所というものを作って、実は酒屋も友人が併設しているので、”エリアで学びをぐるっ”というキーワードで、「美味しくて、楽しくて、学びがあるということを発信していこう」ということで現在に至ります。

みちの:はい。ありがとうございます。

宗像:よろしくお願いします。

会場:(拍手)

みちの:今日、(この会場の)外に置いてあるパンは宗像さんの…

宗像:はい。台風の直前まで焼いて持ってきましたんで、みなさん、ぜひ召し上がってください。

みちの:ありがとうございます。では、都竹(つづく)さんお願いします。

都竹 正義(以下、都竹):はい。元々父が理容師をやっておりまして……、あ、岐阜県の飛騨高山なんですけど、実家が。それで、自分で言うのもなんですが、いちおう偏差値の高い進学校に通っていたんですけど……(周囲をキョロキョロして)、ちょっと今、笑うところ…(笑)

しつもんカンファレンス2018

都竹 正義
理 美容師 or人生がときめく魔法のカット人
https://osakacut.amebaownd.com


髪をとおして、お客様自身が、本当にどのようになりたいのか? 本当はどのよう見られたいか? を見つけ出し、それを『カタチ』にする。縁ある方々がどんどん幸せになる髪を心込めてつくっている。

みちの・会場:(笑)

都竹:それで、なんか知らないけど理容師をやり出したと。4年半やったんですけども、時代も時代で、師匠の見たまんま1年くらいカットに入るような感じでやってたんですけども、なんかこう納得いかないというか、完全に自分がコントロールしたいというか、カタチを全部(自分で)作りたいという状況で、23歳くらいのときに今度は美容室で働いたんですね。

美容室で働いたときに、やっぱりそこで出会った社長とかがそうとう自分の中にインスピレーションを与えて、そこからもう本当に骨格が好きになりすぎて、もうこの(後頭部を触りながら)各分野をすべて分解して、たとえば90度に(髪を)引いたらどうなるとか、130度に(髪を)持ち上げたらどう変わるかとか、各骨格のパーツバランスを研究し出したらもう止まらなくなってきて、ひたすらやり続けたっていう状態です。

そして、そこでも「(学びが)教わったら今度は、人に教えることが自分の成長だよ」というのが職人の世界ではあるんですが、それをやり続けてて、部下とかがたくさん……、20人とか30人とかいたんですが、満たされなくなってきて。

今年やっと自分の店を大阪でオープンしてるんですけども、今は結局、自分がいちばん満たされるような状態……、お客さまよりもまず自分がいい環境でできることってなんだろう?ということに、いったんシフトしている状態なので、『流されない』というテーマでいうと、思いっきり流されてきたんで、ま、どうなるかなって思ったんですけど(笑)。

自分の本当に作りたいものに集中して、22年目ですね、今。ずっと理美容の世界でやらせてもらっているという状態です。以上です。はい。

会場:(拍手)

みちの:ありがとうございます。ここまできて、みなさんお気づきかと思うんですが、先ほど控え室で、「なんでここに集まったんだろうね」という話になったときに、「それぞれみんな変人だよね」みたいな話をしてて(笑)。

会場:(笑)

みちの:変態とか変人とかいっぱい言ってたんですが(笑)、マニアの集まりだと思います(笑)。

それでは八納(やのう)さん、お願いします。

八納 啓創(以下、八納):はい。八納です。よろしくお願いします。ぼくは(変態ではなく)真面目だと思うんですけどね。

しつもんカンファレンス2018

八納 啓創
株式会社 G proportion アーキテクツ 代表取締役
http://keizo-office.com


最高に居心地のいい空間を探求する建築家、ベストセラー作家本田健氏の研修センターをはじめ、会社員から経営者、成功している開業医の自邸などを手掛ける。
環境を活用して夢を実現させるライフスタイルを構築させ、それを空間化させる独自の手法で全国的に活動している。

八納:ぼくは、今、建築の設計事務所を独立して15年くらいやってますけど、住宅の設計とかそれ以外にも幼稚園保育園とか、あとは福祉施設とかの設計をやってるんですね。

設計事務所に11年勤めた後、技術者というポジションから、いきなり自分の仕事をとらなければいけないという形で独立をして、15年くらいになります。

ずっと設計をやっているんですけども、元々子どもの頃はスポーツ選手になりたかったんです。だけど、小学校6年生のときに身体を壊して半年入院して、中学校3年間「体育を見学しなさい」と言われたときに、「あぁ、これって自分はスポーツ選手の道を絶たれたな」って思って。

その次に好きだったことが絵を描くことだったんですね。それで、「よし!ぼくは漫画家になろう」と思って、ひたすら絵を描く練習をして、かなり上手になったと思うんです。

だけど、「よし!漫画家になろう」って思ったら、コマ割りができないんです。ストーリーを考えられなかったんですよ。それで挫折して、ふてくされてリビングで寝てたら、ちょうどテレビでさら〜と描いたスケッチが建物になるっていう、建築っていうのを見たんです。

そのときに、「絵を描く仕事というのは、漫画家になるだけじゃないんだ」って思って。「建築かぁ」と思って、それから大学に行くまでいろいろあったんですけど、いろんなことがあった中で、建築学科に行くという流れになったんです。

そこから建築になったんですね。

今やってる建築は、当初は「自分が死ぬまでにデザインした建築が残ったらそれでいいだろう」と思って初めはやってたんですが、30歳くらいのときに、「果たして自分が創る建築が人を幸せにしてるんだろうか?」って模索し始めたんですよ。そこから、住宅を通して「空間が人を幸せにする要素はなんだろう」ということをずっと研究して。

それで、今は48歳ですけど、いろいろ研究して実際の建築をつくったり、それを本にまとめて、「子どもの才能がどうしたら飛躍的に伸びる空間ができるか」とか、あとは「どういう家族が住まいを手に入れて幸せになっているか」とか、そういうことをいろいろ調べて取りまとめたりとか。

やっぱり変態ですかね。

みちの・会場:(笑)

八納:そんな感じでやってました。以上です。

みちの:ありがとうございます。

会場:(拍手)

みちの:みなさんだけじゃなくて、私も身体マニアなので(笑)、そういう意味でみんな共通点あるなと(笑)。

都竹:(椅子から腰を浮かし、姿勢よく坐り直す)

みちの:あ、すみません。(私が)姿勢のことをやっているので、今(都竹さんが)姿勢を直されたんですが(笑)。全然気にしないでいただいて、大丈夫です(笑)。今日はそっちの仕事(姿勢)の目では見ていないので。リラックスしていただければと思います。

しつもんカンファレンス2018

みちのえみこ
笑顔ライフ★プロデューサー、姿勢科学の専門家(姿勢調整師)
https://ameblo.jp/happybodyandlife/


日米の大学で姿勢科学を学び、姿勢と体のケア、研究、体の話を伝える講演を行っています。体のしくみ(姿勢科学)、脳の特性(仮面心理学/脳科学)、言葉の魔法(魔法の質問)で「自分を知ること」を通じて、笑顔で元気な人を増やし、ゴキゲンな世界づくりを目指しています。

 

まずは自分が幸せを感じる。仕事を超えた至福の時間。

みちの:今、みなさんの経歴を聞いて、たぶんずっと語らせたらもっと(深いところに)入っていくだろうなと思うんですが、話を進めていきます。

このテーマですね、自分スタイルというところで見ていきますと、今日ちょうど飛行機でスカイマークに乗ってきたんです。

スカイマーク、『お客さまの時間を大切にします』というのが理念らしいんですね。去年は、(フライト時間が)遅れないで乗れたのが国内線の中では1位というのを掲げていて、そういう理念でやっているんだなっていうのを、初めて知ったんです。

そういうふうに、会社を経営されていると理念とかビジョンとかがあると思うんですけど、みなさん、何か大切にされていること……、今も言葉の端々に出てきたんですけれども、それぞれ大切にされていることを、たぶん一緒に仕事されている方だったり、お客さまにお伝えしてたりかすると思うんですけれども、「何を大切にされているか」というのをお伺いしたいと思います。

宗像さん、何を大切にされていますか?

宗像:そうですね。ま、試行錯誤をずっと続けてきてはいるんですけど、結局ぼくは妹が病気になっちゃったというのがあったんで、「どうすれば生き残って、幸せで、楽しいか」ということはテーマだと思うんですけど。

そのテーマの中で、ぼくがものすごく興味を持てることと、人が幸せになっていくという結果との接したところというか、そこが重なった部分だけが、ぼくが提供できる、今だったらパン作りだったり、パン教室だったり、いろんなことがあるんですけど。

自己犠牲とか、働いてるスタッフが苦しい想いをしながら美味しいパンを作る、っていうことではないんじゃないかなというのを常日頃考えていて。

それぞれ全員がこう、自分を生き生きさせながら仕事に関わって、それで幸せをお客さまにきちんと提供できるかどうかということを「いつもみんなで考えよう」と、声かけるときはそういうことを声かけてやっています。

みちの:ありがとうございます。先ほど、「パン作りが好きになったのは最近だ」みたいなお話しされてた…

宗像:いや、パン作りじゃなくて、パン全般。

会場:(笑)

みちの:あ、パン全般(笑)。

宗像:前はほんとに、パン屋するまでパンに興味がなかったんです。パン自体に興味がなかったんですけど、最近いろんな方からいろんなパンをいただいたり、食べる機会が増えて、「パンいいな」って思っています。

みちの:あぁ、そうなんですね。そういう意味では、パンがよくてパン屋になった、というよりは、いろいろやりたいことをやっていったら……

宗像:たまたま好きなことが全部詰まっているのがパン作りだった、という感じです。

しつもんカンファレンス2018

都竹:面白いですね。

みちの:なるほど。なんか、パンを作る前は窯を造っていたという。

宗像:ぼくは、子どもの頃から、八納さんみたいに、絵を描くこととか粘土細工とか、手先に集中して時間がなくなる至福の時間みたいなものがすごく、気持ちよかったんで。研究というテーマでひたすらやっていたときから、ぽんっと陶芸の世界に行ったときに、もうほんと楽しいんですよ。

お金とかどうでもいいんです。とにかく「こんな楽しいことでお金もらえるなんてありえるんだろうか」っていうくらい楽しかったんで。

あれ、今、何の話だったか忘れちゃったんですけど(笑)。

みちの:大丈夫ですよ。なんかその粘土こねてるのと、パンこねてるのと似てるみたいな。

宗像:そうなんですよ。結局、夢中になって無になれるっていう瞬間が、1日の中に必ずあるというのが、ぼくにとって瞑想で、ほんとリセットできるというか、すべて忘れて、自分が幸せになれるんで。ほんと最高。(しみじみ)火を焚くっていうのも最高なんですけど。

(目が合った都竹と笑い合う)

みちの:さっき炎の高さみたいなのも……

宗像:そうなんです。薪をくべるというのが仕事の中に入っているので、その美しい絵を眺めながら自分の仕事として関われるなんて……、ほんとすみません(笑)。

 

仕事をしていると、病気も治る?!

都竹:割り込みたいんですけど。

宗像:はい。

都竹:体調も治りますよね。

宗像:治ります。治ります。風邪ひいいてても…

都竹:そうなんです!何回かぼくももらしたことがあるんですけど……、あ、間違えました。あ、体調が悪くて、なんかやってるうちに治るんですよね。

宗像:治ります!ほんとに。

都竹:そもそも病気に…

宗像:ならないです。

みちの:それは仕事して楽しいから…

都竹:仕事…じゃないんですよね。

宗像:なんかね、世間でいろんな流行りの病が流行するじゃないですか。まったく興味がないんですよ。

みちの:(笑)

宗像:こっち(パン作り)が好きなんで、だからスタッフと関わるときでも「基本、興味ないんで」みたいな。

会場:(笑)

みちの:興味ない(笑)。

宗像:興味ないんでって。

都竹:なんでそうなるんやろうかって思いますし。

八納:たしかに、(病気に)かからないですね。

宗像:気持ちいいマックスで仕事してしまっていると、もう仕事はたぶん超えてしまっているので。

都竹:遊びなれてないから、遊び出すと病気になる。

宗像:あぁ、それはあるかもしれない。休むと調子悪くなる。

都竹:調子悪くなる。

みちの:なるほど。

都竹:でも、休みたいような気もする。

宗像:そうですね。

みちの:(笑)

都竹:すみません。ちょっと(宗像の話が)気になって。

宗像:ちょっと(都竹を差して)似た感じだなって思うんです。

みちの:全員が似てるんじゃないですか(笑)。

八納:(宗像、都竹と自分の間に線を引く仕草=自分は違うをアピール)

都竹:すみません、間に(割って入ってしまって)。気になって。

みちの:いえいえ、大丈夫です。ほんとそうだと思います。私もちなみに風邪ひかないんで(笑)。そうですか、いいですね。

都竹・宗像:何の話でしたっけ?(笑)

 

その人がどうなりたいか?をデザインする

みちの:えっと〜、じゃ次、都竹さんの大切にされていることは何ですか?

都竹:さっき(言ったんですが)、自分がいいと思う状態を最近は選択して、その前はほんとに人が、スタッフがよくなる、というのをやってたんですけど。

その先にあるのは、お客さまとか関わった人が、カタチが変わったりだとか、変化することにだけは(力を注いできた)、そこだけは絶対ブレないので。

逆にそれは自分の歓びというか、なんか、「変化させたった」みたいなところは、すごく素直に出したほうがより循環しだすな、というのは最近感じたので。なんか、”ていのいい話”とか”ていのいい役割”とかをやってきたんですけど、やっぱり純粋にお客さまがそのまんま喜んで、よりよくなるっていうことですね。

で、自分としてはこんな風態(柄のシャツに被り物)を、わざとというか、やっぱり人前でしゃべるとなると、これだけズバズバ言って派手やから、影響力出るかなって思って考えるわけなんですけど。

しつもんカンファレンス2018

会場:(笑)

都竹:いや、ほんとは恥ずかしい……、そういうのないんですよ。

会場:(笑)

都竹:違う違う。いや、でもね、そうなんですけど。作ったデザインがその人との対話の中で作るんで、その対話をすると、自分のイメージするデザインだけでは絶対にカタチにならないから、その人との対話の中でその人が先に「どうなりたい」とか。

たとえば、妊娠した後、家で髪を洗うのも大変であれば、(髪の)量を減らしたりだとか、髪をまとめたときに、こう左右から髪が落ちないように楽に(髪型を)つくってあげるとか、産後の後で髪が抜けた分、前髪を増やすとか、そういうことって、対話の中からしかわからないし、その人がどうなっていきたいかが見えないんで、そういうことはすごく大事にしていて、でも、「そうやってあげたった」っていう自分が好きみたいな。

みちの・八納:(笑)

都竹:そういうのが今は大事みたいな。はい。以上です。

みちの:ありがとうございます。いいですね(笑)。

都竹:すみません。

みちの:いやあの、肩書きのところに「人生がときめく魔法の…」

都竹:いや、それは止めましょう。ぼくの大切な…、あの……、主催者の方とか周りの人とかがそういう本を書いていたんで、そうやって書いたらちょっと影響力出るかなって(その肩書きをつくったので)。

みちの・会場:(笑)

都竹:なので、それを言われると……、そうなんですよ(笑)。

みちの:べつに名乗ってるわけじゃない?(笑)

都竹:名乗ってません。そんな、あの…(自分のズボンに目を落とし)米粒ついてました。すみません。

みちの:(笑)

都竹:そういうんじゃないです。そうなったらいいなっていう、これからのコンセプトでございます。ありがとうございます。

みちの:ありがとうございます(笑)。ちょっと面白いんですけど(笑)。
でもそうやって対話とかの中で、「私、髪を乾かすのが苦手なんですけど」とかがあったら、そういうのも聞いてやってくれるのはすごくいいですよね。

都竹:そうですよね。何のドライヤーを使ってるかもわからないですし。たとえば、旅行に行く先の湿度とか、そういうのもやっぱり全然違うんで。

あと、住環境とか、どの人にどう見られたいか、というのをすごく聞きます。それって自分じゃわからないので。自分自身も自分のことがわからないので、いろんなプロの人とかコーチの人に聞いて自分を律するんですけど、それと一緒で、たぶん一般の女性の方も…、男性の方も一緒ですけど自分のことはわからないので。

だったらやっぱりちゃんと「ぼくはこう思う」というスタンスを線引きはするんですけど、その人がどこに生きているのか、どこに行きたいかは全然見えないので、それはすごく大切にしているかもしれないですね。

(宗像の方を見て)発酵と一緒ですね。

宗像:そうですね(笑)。

都竹・八納・みちの:(笑)

みちの:すごくいい(笑)。ちょっと私事ですけど、「魔法の質問」の合宿みたいなのがあったときに、全然、「魔法の質問」のことを知らないで行っちゃったんで、よくわからなかったんですけど、せっかく本が置いてあるから本買おうと思って、「どの本がいいですか?」って売っている人に聞いたら、「どうなりたいですか?」って聞かれたんですよ。

本屋に行って、そんなこと聞かれないじゃないですか(笑)。

八納:たしかに。

みちの:そういう美容師さんなんだろうなってちょっと思って。

都竹:まだまだです。

 

環境が地球と人に与える影響は計り知れない

みちの:ありがとうございます。八納さん、お願いします。

八納:自分が大切にしてること、ですかね?

みちの:はい。そうですね。自分が大切にしていること。

八納:え〜っとですね、環境というものが人の人生とか、その人自身にすごく影響していたりとか、環境自身が地球にもすごく影響を及ぼしているんですね。

今回、台風が来て、かなり大きな台風だったと思うんですけど、残念ながら毎年この規模の台風がこれから来るような地球環境になってきているんですよ。

だから、ぼくは建築を通じて、「地球に優しい建築と人に優しい建築をつくりたいな」という想いがすごくあって。一応、会社のほうでは、「100年後の孫の代まで誇れる建築をつくり続ける」というのを掲げてるんですけど、自分たちが死んだあとでも、自分がつくってきたものに誇りを持てるか、みたいなのをすごく大切にしていますね。

特に今、建築っていうか、今回カンファレンスをやってるここの建物(万国津梁館)が醸し出しているいろんなものがあって、ここでやるから特別な感じがするとか。

たとえば沖縄だったら、御嶽(うたき)っていう聖地がありますよね。
たとえば、そういう場所が持っている場のエネルギーがあったりだとか。あと、本州の方にもある、たとえば神社とか。ああいったところって実は、縄文時代からあるのってご存知でした?

しつもんカンファレンス2018

都竹:へぇ〜。

八納:大昔からある聖地の場所を神社にしているんですけど、ああいう場所に行くと、すごく気持ちのいいエネルギーがさ〜っと流れてるんですけども。

あと、宗像さんの「宗像堂」っていう建物が建っている敷地もすごく気持ちがいいんですけども、わかっている人はそういう環境を活用して、自分の人生に取り入れてるんですよ。

ちょっとだけ話が長くなりますけど、アメリカのポートランドに、イチローより有名な日本人で吉田さんという人がいるんですけど、先日、その方の家に行ってきたんですね。億万長者ですよ。その人の家を見て、いろいろなものをつぶさに見させてもらったんですけど、一言で言うと、その敷地自体が日本の神社のようにエネルギーがいいんですよ。

そして、住んでいる家も風水とか整っていたりするんです。「自分はよくわからないけど、周りの人が勝手にやってくれてな」とかって言って、そんな感じで押し上げられる人は、押し上げられて、いい環境に住んでいるんです。

それは逆に、ぼくたちから言うと、逆手にとったらいいんですよ。いい環境を意図して選ぶという、そこの知識を身につけていったら、たぶん人類どこかでぐるっと環境に対する扱い方が変わるんじゃないかなって思ってるんですけどね。

ですから、このカンファレンスがここ(万国津梁館)でやっているって、すごくいいなって、そんなふうに思いました。それくらい環境っていうものが、地球と人にいい影響を及ぼすことにもできるし、反対のことにも影響を及ぼすっていう、そんなことを考えながらやっています。

みちの:ありがとうございます。

都竹:はい。(片手を挙げて)日本って…

八納:はい。

都竹:(建物を)つくって潰すじゃないですか。環境というか家とかも。この前、海外に行ったときに、何百年も残るものを中をリノベーションして大事にするんですけど、あれは何の価値観の違いがあるのかな?って思って。

日本って、潰してつくるっていう。

八納:それは戦後の日本だけなんですね。戦前までは、そんなスクラップ&ビルドみたいなつくり方はやってなかったんですよ。

都竹:ほぉ〜。

八納:あとは、ヨーロッパは石の文化で日本は紙と木の文化で、沖縄も昔は、台風ごとに飛ばされてつくるという形でやっていたのを、戦後コンクリートでつくって、そういうふうにならないようにしたというのがあって。

そういう文化の違いとかもありますけど、戦後のこの70年間というのは、ある意味、経済発展したけど、異常な状態でつくっては壊してきた。

ただ、法隆寺とか、何百年も前から木造で建っているものとか、あと、沖縄で言うと中村家住宅とか、あれも木造でしょ。沖縄でも昔は木造の家がたくさんあったんです。全然つくれるんですよね。で、長い間もたすこともできるんです。

都竹:ちょっとすみません。

八納:あ、いえ、ぼくも真面目に答えてしまいました(笑)。

会場:(大笑い)

宗像:ぼくも実は、環境ってふだんから気にしていて、結局、いい環境だといい微生物が集まるんですよ。そうすると保存している原料の状態がよかったり、発酵もいい方向に働いたりとかって。結局、そういうところまで「どんなことをしてもいいものをつくり上げたい」って貪欲に思ってると、いろんな選択肢がいっぱいあって、それをこう、どうやってぼくらがピックアップして、提供して、パンにするか。

ぼくもね、実は最近、人が変容していくのが好きなんですよ。なんか、キラキラしちゃって。なんか気づいちゃったみたいな。

パン食べるだけなんだど。そういうのって、やっぱり自分の歓びだなぁと思って。だからすごく(八納の話)わかりますよ。

都竹:ほんと面白いですね。

宗像:絶対面白いよ。

都竹:(宗像の調子に合わせ)絶対面白いよ。

全員:(大笑い)

八納:ぼくも仲間に入れてもらっていいですか?(笑)

全員:(大笑い)

みちの:はい。ありがとうございます。

都竹:あるものですよね。そこにあるものっていうのが、ほんとになんか大切なような気がしましたね。すごい勉強になりました。

しつもんカンファレンス2018

(パート2へ続く)

写真記録チーム/田島聖子、多賀 健、猪野裕介

 

次の記事を読みたい方はこちら

思いっきり流されてみて、見えてくるものがある。ブレたからこそブレなくなる。続けるべきは自分との対話。

をご覧ください。

 

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