海外で自分らしく、楽に生きるコツは、「自分のやりたいことをはっきり言う」

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講演録『世界のどこでも生きていく方法』Part2


自分とは日本とは「違う」ということをほんとうの意味で腑に落とし、受け入れられるようになると、自分の考え方や在り方も変化する。「世界のどこでも生きていくマインドとは?」「違いを楽しむコツとは?」3人からのアドバイス。

2018年9月30日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション5A


▼登壇者情報

スピーカー/
山脇 恭子
一般社団法人mother earth代表

日高 有紀
ジュエリーデザイナー

黒柳 聖子
バストリシェイプセラピスト

質問家
永田 佳奈
LIFEWORK COORDINATOR


永田:今回のタイトルが「世界のどこでも生きていく方法」っていう、そのヒントになるものをいくつかお話していただいたと思うんですけど。

このタイトルで「これは伝えたいな」とか、このタイトルで依頼が来たときに「これは……」っていうものがあれば、お話していただけたらなと思うんですが、恭ちゃんからお願いします。

 

「自分以外異文化」2国を知ると、選択肢が広がる

山脇(恭ちゃん):わたしは自分の意思で中国に行ったわけではなかったので、このタイトルが来たときも「何を話そうかな?」って思ったんですが、だからこそ葛藤があって。やっぱりずっと怒ってたっていうかね。

環境……「なんで自分だけ10何年も中国から帰れないのかな」っていう腹立ててたところがあったんですが、今思うのは、2国を知ったということで自分の多様性がすごく広がったなって思えてるんですね。

子どもたちの学校の進路もそうですけど、たとえば日本で学校が全部不合格になったとしても「中国帰ってくればいいや」っていう感覚があったり。みんなそうなんですよ。近いし。2国が自分の国みたいな感じがあって、選択肢の幅がすごい広がったなって今思ってるんですね。

ま、自分以外は全部異文化だとわたしは思っているので。中国人も異文化ですけど、日本人だってわたし以外の人は全然違う考え方、価値観を持っていて。それが中国に住むことで、なんていうかな、頭じゃなくてわかった、腑に落ちた。

全然通じないんです、話が(笑)。人の家にドリルで穴空けて、びっくりして窓開けて「何してるの!?」って言ったら、「いやなんかケーブルテレビ引くって言ってるから」って言って、穴空けたまま帰っていくんですよ。それは分業なんですけど、「雨降ったらどうするの?」っていうくらい穴空いてるんですね、家に。

そういうことが日常茶飯事で行われてて、水漏れとかももう……。(今回のカンファレンスは)台風でね、すごかったですけど、あんなのしょっちゅう中国では起こっていて(笑)。で、直らないんですよね。

しつもんカンファレンス2018トークセッション

山脇(恭ちゃん):日本ってすごいなって思ったのが、すぐ直してくれるの、ホテルだったんで。そんなの(中国だったら)全然直らないし、耐えて生きていくしかないんですけど。それにいちいち腹立ててたんですが、それ、文化なんですよね。

中国の歴史、文化大革命とかいろいろあって、自分以外のことは信じられないって彼らはなっているので、国も信じられないし、社会も信じられないし、自分たちの親戚だけ信じて生きていくという文化なので。

それを理解したら、腹が立たなくなって。怒ってばっかりいたんですが、腹が立たなくなって、そしたらほんとに楽になりましたね。日本人同士もそうだし、中国人ともそうだし。「わかり合うんじゃなくて、認め合う」と思って生きています。

永田:自分以外異文化ってすごいですね(笑)。

山脇(恭ちゃん):全部異文化(笑)。

永田:日本にも中国人の方がたくさん来ていて、「中国人だから」という声はすごくたくさん聞くんですけど、あれが周り全部だと思うと、想像するだけでゾッとするんですけど、それは今はないということですか?

山脇(恭ちゃん):いや、腹は立ちますよ。だから、街に出たら怒ってますけど、彼らは怒っても「わー!」って言い返してきて終わりなんで……。なんだろうな……、これを言ったら失礼だとか、そういう文化がない分、楽かも。

(日本に)帰ってくると、腹が立っていてもちょっと言えない。マナー違反とかね、レジの人とかに気を遣うとかね、あるんですけど、中国でのわたしの方がたぶんストレスないと思うんですね。そういう事象はストレスあるんですけど、お金投げてくるとか、街ですごいけんかしてるとか、そういうの見るたびすごく心がざわつきますが、わたしは反応しないです。なので、ストレスにならないのかもしれない。わからない。

そのストレスはあるけど、心のストレスはないみたいな。

永田:ありがとうございます。聖子ちゃん、どうでしょう?

 

「察してよ!」は、ない。ストレートに言う。

黒柳(聖子ちゃん):日本にいると遠慮してたりしても、だいたいわかってくれるじゃないですか。遠慮してるとか気を遣ってるとか。そういう”言わなくてもわかってるでしょ”という感覚がまったくない。海外に行くと。

なので、自分のやりたいことを、したいことをはっきりした方が、サポートとかもすごくしてくれたりとか、助けてくれたりとかね、いろいろしてくれることもあるんで。
やっぱり気を遣う、遠慮するとか、そういうことはせずに、はっきりしていた方がいい気がします。

永田:”察する”っていうのは、日本語で英語にはない。他の英語に置き換えるとどうかわからないんですけど、”察する”っていうのは、中国語とかインドネシア語にはあるんですか?

日高(有紀ちゃん):いや、ないですね。

永田:中国語はどうでしょうか?

黒柳(聖子ちゃん):絶対なさそう。

会場:(笑)

山脇(恭ちゃん):人の気持ちを察するっていうのはあるかも。”察する”っていう言葉や推測するっていう意味の言葉はありますけど、「察してよ」っていうのはないですね。やっぱりストレートに言います。

永田:そういう微妙な言葉っていうのが日本語にしかないなとわたしも思っていて、日本人の文化かなって思うんですよね。察してもらえないからはっきり言葉にして言うと、さっきおっしゃったみたいにサポートがくるっていう感じはありますか?

黒柳(聖子ちゃん):あります。よくありますね。

イメージですけど、すごい人混みの中を目的もなく迷子になって歩いてるときって、ぶつかったりすごく歩きにくいじゃないですか。でも、自分が「こっちに行きたい!」ってわかったら、人がいっぱいいてもスムーズですよね。その感覚ですね。

日高(有紀ちゃん):やっぱり「違いを受け入れる」ということかなと思うんですけど。日本にいると、日本の文化とか日本での普通ということしか知らないと思うんです。たとえば子ども……、赤ちゃんでもピアス空けてて、公園とか行くと、すごく言われるんですよね。

日本だと「子どもなのに、なんでピアス空けてるの?」と言われるんですけど、逆にその子がバリに来たら「え、なんでピアス空けてないの?」ってなるんですよ。

バリだと赤ちゃんもピアスを空けるのが普通だけど、日本だとそれはあり得ないじゃないですか。だからその辺はもう文化の違いとか、習慣とか。どっちがいい、悪いとかもないし、そういうのを受け入れると、スムーズかなと思うんですけど。

 

「気が変わる」のもOK! 幸せのハードルを下げる

永田:「違いを受け入れる」ということがお三方から出てるんですが、さらに受け入れて、楽しんでるようにわたしには見えるんですけど、楽しむコツはどうでしょうか?

日高(有紀ちゃん):楽しむコツですか…………?(困った感じで 笑)

永田:ヒンドゥー教に改宗して、それでも楽しそうにそれを話してるなって思って。

日高(有紀ちゃん):え?なんだろう?楽しむコツですか。あんまり深く考えないことです(笑)。なんか、感じるものを大事にしてます。

永田:感じる……さらに感じるコツってあります?

日高(有紀ちゃん):考えないことです。

永田:考えない。

山脇(恭ちゃん)・黒柳(聖子ちゃん)・日高(有紀ちゃん):(笑)

永田:聖子ちゃんはどうでしょうか?

黒柳(聖子ちゃん):楽しむコツですね。楽しむコツは、付き合いなんですよね。ほんとに行きたいときだけ行くっていう。

だから、ほんとに自分が求めているものがはっきりするし、行ったらやっぱりよかったって。日本だと付き合いで行くものが多いから、「ハァ、もう疲れた」とか。

ほんとに自分が求めたものがもらえる、そういうのが楽しいです。

しつもんカンファレンス2018トークセッション

永田:以前マウイのマーケット行ったときに、水色でできた「ラップ」を売っていて、「これ、電子レンジで使えないの?」という話をしていて、「これはホームパーティーに行くときにかぶせて行くんだよ」って。「へぇ〜(日本だと)ホームパーティーとかしないからいいわ」って買わなかったんですけど、そのときマウイの人たちからは「ホームパーティーしないの?!」ってすごく言われたんですよ。

それを聞いたときに「うわ〜めんどくさ」って思ったんですけど、そういうのはどうですか? 付き合いというか、ホームパーティーとかは?

黒柳(聖子ちゃん):でも、ほんと好きな友達だけ集まる。

永田:しょっちゅう?

黒柳(聖子ちゃん):いや、やっぱり好きな人は好きだし、性格があるんじゃないですかね。

永田:普段どんなふうに過ごされてるんですか?好きな人とだけ付き合うという感じですか?

黒柳(聖子ちゃん):うん、そうですね。前は誘われたらとりあえず「行っておこうかな」とかいろいろありましたけど、今は行きたいときに行くし、ドタキャンもいっぱいあるんですよ。みんなお互い。「今日は気が変わったから行かない」とか。

日高(有紀ちゃん):バリもそうですね。

黒柳(聖子ちゃん):ね。そういうのができるのがほんとに幸せですね。日本だと絶対できない。

永田:日本だと「わたしのこと嫌いだからドタキャンするのかな」とか「ドタキャンされた」ってけっこうショックなんですけど、するのもされるのもOK?

黒柳(聖子ちゃん):OKですね。

山脇(恭ちゃん)・黒柳(聖子ちゃん)・日高(有紀ちゃん):(永田の反応を見て 笑)

永田:恭ちゃんはどうでしょうか。

山脇(恭ちゃん):そうですね、みなさんの言ってるとおり中国もそうなんですけど。

こないだ講座を中国人の前でやらせてもらおうと思って、中国人のところに打ち合わせしに行ったら、「あのね〜、先生ね、たとえば50人申し込みあったとするでしょ。当日来るの3人なんですよ」って言うんですよ。

「はぁ?」ってなって(笑)。「なんで50人申し込みあるのに、3人なんですか?」と聞いたら、「中国人はそんな感じ。雨が降ったり、その日の気分で来ないから、登録してても来ないよ」って。「それでもよかったらやります」と言ってくださったんですけど、そんなアホみたいな講座はやりたくない(笑)。

だから、やっぱり日本人ってすごくて。わたしはすごく日本人であることに、海外に行ってから誇りに思っていて。仕事は絶対日本人とやりたいです。

永田:あぁ。

山脇(恭ちゃん):もう中国人とはできない!(笑)。認めてますけど、やっぱり仕事となるとすごくこう不便が出てくるんですね。日本人ってほんとに信じられて、素晴らしい国民だなって思うんです。

ただ、そういう素晴らしい国民だからゆえに、わたしたちが常識と思ってることは世界の常識じゃなくて。ほぼほぼ日本だけで通用する概念ってたくさんある。ドタキャンはあるし、時間は守らない。

時代とか国が変わると変わるものって、もうなんか縛られなくていいんじゃないかなって思っていて。中国に行ったとき、ほんとにびっくりしたのが、どこでもご飯食べますよね。接客してるのに、食べ始めるんですね。なんか麺すすりながらしゃべったりするし、カバンとかその辺の市場で誰かが買おうとしたら「(カバンが)汚れてる」って言ったら、金魚の入ってる水槽の水で拭いてとか(笑)。

しつもんカンファレンス2018トークセッション

山脇(恭ちゃん):ま、それはね、笑い話なんですけど。なんだろ、初めは、日本で絶対日本人はしないよねということにすごくとらわれてたんですけど、なんか別に……。ま、そういう金魚の水で拭いたらダメですけど、「どうでもいいかな」と思えることが多くなってきて、わたしの幸せのハードルが下がったんですね。

なので、すごく生きやすくしてくれたなというのは思っています。日本は幸せのハードルが高い国だと思います。

(今回の)ホテルの台風への対応を見ててもそうだし、できて当たり前のアベレージがすごく高い。それはすごい幸せでもあるし、ある意味、できなかったときの不幸とか不便を感じることは、わたし自身すごくあった。中国との落差で、もう何年もかかりました。ずっと思ってましたから。

ようやく最近、どこも一緒かなと。いろいろアジアとかも旅行に行くんですけど、まぁたいがい一緒。日本が特別。そう思えたことが宝、財産かなと思っています。

永田:コツというのは、「幸せのハードルを下げる」ということですかね。ありがとうございます。

 

大好きな彼と海外で暮らすことを選べなかった当時のわたしに、声をかけるとしたら?

しつもんカンファレンス2018トークセッション

永田:これより先は、先ほど楽屋でもしていたわたしの質問になるんですけど、わたしが人生の機転だったと思うのが、20代でカナダに留学していたときにカナダの人と知り合って、4年間付き合って結婚の話が出たのに、わたしはどうしても「カナダには住めない」っと思って行かなかったんですね。

それから何年も「あのとき行ってたら、どうなっていたかな?」と思う日がけっこう長くて。あのときのわたし、20代のときの、すごく好きな人がいて海外に行こうかと悩んでいるわたしに、声をかけるとしたら何て声をかけていただけるかなって。

それを先ほどね(楽屋で)してたんですけど、今聞きたいなと思います。

日高(有紀ちゃん):行けばいいのにって思います(笑)、「行きたい」と思ったら。行けるかって考えないで。それを考えると、やっぱり動けないかなと思うんで。

永田:考えるより感じるというか……。

日高(有紀ちゃん):すごい彼が好きで、あんまり考えずに行動してみて。ダメだったら帰ってくればいいのかなって。

永田:なるほどね。有紀ちゃんも、彼とインドネシアに行くというときは考えてなかったんですか?

日高(有紀ちゃん):全然考えてなかったです。

永田:ありがとうございます。聖子ちゃんは?。

黒柳(聖子ちゃん):行けるとか行けないとかはあれですけど、自分が正直に自分で決めたことだったら後悔しないと思うから、ほんとうに「自分の気持ちに正直に生きてたらいいんじゃない」って言うと思います。

永田:恭ちゃん。

山脇(恭ちゃん):たぶん、そのときはタイミングじゃなかったんだろうなと思うので、それで正解だったんだろうなって思うし。たぶん流れで行くことになるときは……、聖子ちゃんみたいにやってくるし。なんかそれが最善なんだろうなって。

わたしは何度も帰るって思ったんですけど、帰れなくなるんですね。帰りたいんだけど帰れなくなって。でもそれが、結果いい状況に結びついてるし、もうなんか抗えないというか、流れに任せるというか。

たぶん行くときが来ると思うんです。すごい行きたいタイミング、そのときのタイミングと気持ちが一致するときがきっと来るんだろうなって思います。

永田:ありがとうございます。
そのタイミングとか流れというのは、さっき有紀ちゃんが言ってた宗教、神さまをいちばんにしているっていうのと、わたしは繋がっているような気がします。そういう考え方や感じ方を大切にするのは、ずっとそんな感じだったんですか?

日高(有紀ちゃん):なんかバリに住んでから、最近特になんですけど、ほんとにいろんなことを考えられないというか(笑)。
(黒柳の方を見て)わかります?

黒柳(聖子ちゃん):わかる(笑)。

日高(有紀ちゃん):ものを作る仕事なんで、考えてたらできないんですよ。感覚っていうか、それで生活してるので。考えないから失敗はすごく多いんですけど、だんだん年をとるにつれて、考えるのが苦手になってきました。

永田:それでもうまく回ってる?

日高(有紀ちゃん):回ってない?(笑)

永田:回ってるようにわたしには見えるんですけど。

日高(有紀ちゃん):楽しいですけど、回ってないかもしれないですけど、すごく楽しく生活しています(笑)。

(パート3へ続く)

写真記録チーム/田島聖子、多賀 健、猪野裕介

 

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