講演録『これからの時代の新しい働き方』Part1
世界展開をはかる作業効率化のITツール会社社長、自転車で日本全国を旅しながら発信し続けるWEBメディア編集長、限界集落に向かう農村で地方創生のビジネスに取り組む起業家。それぞれが実践する、新しい働き方とは?
2017年10月1日開催
しつもんカンファレンス in OKINAWA セッション7C
▼登壇者情報
スピーカー/
山本 敏行
元ChatWork株式会社 CEO
松田 然
フリーランスの働き方をアップデートするメディア「SoloPro」編集長
ライターカンパニー「スゴモン」代表
桑名 宏樹
古民家ベーカリー「パンと農園 種と土」代表
質問家/
寒川井 誠
コンテンツ・クリエイティブ・デザイン(株)代表
一般社団法人しつもん財団事務局長/評議員
一般社団法人インターナショナルマネーフレンド協会理事
チャットで日本の社員80人をアメリカからマネジメント
寒川井誠(以下、寒川井) :では、カンファレンス最後のテーマ、新しい時代の働き方ということで、始めたいと思います。
今までも、時代とともに働き方って変わってきたと思います。これからもその流れはきっと続いていくだろうと思うんですけども、きっと、今の働き方しかないというような枠で捉われていると、辛くなってしまうんじゃないかなというときが来ると思うんです。
そこで、自分にあった働き方、ワークスタイルの可能性というのを、今日、受け取ってもらえたら嬉しいなと思うんですけども。それにあたり、いちばんかなと思うのは、今の自分で、想像もできない働き方をしている人に触れることだな、と思うんです。ということで、スピーカーのお三方からお話をお聞きできればと思っています。
では、簡単にどんな働き方をされているのかを教えていただければと思いますが、山本さんからいってみましょうか。
山本敏行(以下、山本) :みなさん、こんにちは。ChatWorkという会社でCEOをしておりました山本と申します。
そうですね、私の働き方……。チャットワークという、簡単に言うとプライベートで利用するチャットツールのビジネス版のようなサービスですね。それをやっておりまして。それは6年前くらいにリリースしました。
元々は2000年に創業したときから、メールというのは非常に非効率だなと思っていたので、チャットでずっと仕事をしていたんですね。Skype Japanの社長に「もっとビジネス用にやったほうがいい」と言ったんですけども、「やらない」っていうので、「やらないんですね!」「じゃあ、やりますよ」みたいな感じで始めたのが6年前なんですけども、
当時、ま、ビジネスチャットは、世界探しても、どこ探してもないような先取りしてた感じなんですけども、私自身がやはり飛び回りたい、なんかチャンスがあったらそこに飛んでいきたいタイプなので、ずっとオフィスの中にいるということがなかなかできないので、今のインターネットの時代なのでそういった形でいけるかなと。自分たちでツールを作ってしまってという形でやりました。
(2017年の)7月までは、シリコンバレーに5年間くらいいましたので、日本の社員80人くらいをチャットと、あとビデオ会議とかでマネジメントして5年間やってきましたので、そういう形で、いつでもどこでも働ける時代になってきたのかなと思っております。
山本 敏行
元ChatWork株式会社 CEO昭和54年3月21日、大阪府寝屋川市生まれ。1997年、中央大学商学部の夜間部へ入学。2000年、留学先のロサンゼルスにて、株式会社EC studio(現ChatWork株式会社)を創業。帰国後2004年、法人化したが、社員の流出が相次ぎ、2005年に1000人の経営者に会う中で、経営の本質は「社員満足」にあると気づく。その後「社員第一主義」を貫き、労働環境を良くするためにITを経営に徹底活用したことで、組織診断サーベイにおいて2年連続で『日本でいちばん社員満足度が高い会社』に認定される。中小企業を支援するためにITを活用した事業を多数展開。2012年、クラウド型ビジネスチャットツール「チャットワーク」事業に一本化し、社名も変更。シリコンバレーに子会社ChatWork Inc.を設立し、世界展開を図る。
寒川井 :あの、うちは、マツダミヒロを筆頭に、どのメンバーがいつどこで何をするか、全然わかんないメンバーたちが集まってプロジェクトを遂行していくんですけど、チャットワークでお互いのやり取りをしていて、これがないとビジネスとして成り立っていかないようなチームなんです。
個人的なことを言うと、妻とのやり取りもチャットワークを使ってるんですね。「牛乳買っといてー」、タスク化、みたいな(笑)。
ちなみにチャットワークを使っていらっしゃるって方、どれくらいいらっしゃいますか? おー、ありがとうございます。残りの方は?(笑)。
山本 :残りの5人くらいの方は(笑)。
寒川井 :新しいツール、オススメなのでお使いいただけたらと思います。
肩書き:働き方実験家
寒川井 :では、もゆるさん行ってみましょうか。どんな働き方をされてますか?
松田 然(以下、松田(もゆる)) :こんにちは。本名で松田もゆるといいます。で、ですね~。何をやってる人かってよく聞かれるんですけど、個人的には働き方の実験をずっとしている人で
寒川井 :実験?!
松田(もゆる) :“働き方実験家”という肩書きを、今日の朝決めました。
今日、朝、走ってたんですけども、あの、先週から肩書きを変えたばっかりなんですけど、今日また“働き方実験家”でこれから活動していこうかなとふうに決めました。
松田 然
フリーランスの働き方をアップデートするメディア「SoloPro」編集長
ライターカンパニー「スゴモン」代表自転車旅ライター(仕事をしながら47都道府県走破)。他、コーチングやオンラインサロンも主宰している。
寒川井 :なるほど。さっき、名刺交換をしてたんですけども、奥の二人が同じことを言ってて、「ちょっと前の名刺なんですけど」、これ結構新しいフレーズだなと思って。
基本的に仕事スタイルって変えないじゃないですか。「あ、今朝変えたんです」とか、「あ、ちょっと前に肩書き変えたんです」と、これが特徴を表してるかな、というふうに。
松田(もゆる) :先ほど交換した名刺はおととい届いたばっかりだったんですけど、もぅ肩書き変わっちゃいました(笑)。
具体的に何をやってるかという話なんですけど、本業はライターという仕事を10年以上やっていて、面白い働き方をしている方を取材して、メディアで書くような仕事をします。私自身も働き方の実験をしたいなと思ったのが7年前くらい、会社を立ち上げたときなんですけど。
そのときに、旅が昔から大好きだったのに社会人として仕事始めたらなかなか旅に出れなくて、「旅出たいけど出れない理由はなんだ?」と考えると、仕事を休めないだったり、クライアントの目がある、上司の目がある、仕事が邪魔してる。でも、仕事は好きだったんですね。なので、仕事をしながら旅をできないかなって実験を始めたのが7年前です。
そこから僕が好きな旅のスタイルは自転車旅だったんですけど、自転車で47都道府県をすべて回って各エリアの面白い人たちを取材して届けるようなライターの仕事が生業になりました。あと、フリーランス向けの「SoloPro」っていうメディアなんですけど、そこの編集長の仕事が一つ、あと、コーチングっていうのもやっていますし、オンラインのサロンもやっていますので、いろんなことをやっていますけども全部働き方の実験に紐づいている。
寒川井 :すべて実験なんですね?
松田(もゆる):実験ですね。失敗例も話しますし、成功例も話しますし、どれだけ売り上げたか?みたいなところもブログで公表しちゃったりとかしていました。はい、そういう人です。
寒川井 :ありがとうございます。
立ち上げた会社を離れ、今はプータローみたいな状態
桑名 宏樹
古民家ベーカリー「パンと農園 種と土」代表2014年から都内より山口県岩国市の旧南河内村に移住し、田舎の豊かな暮らしを感じる「あたらしい古里をつくる」活動をしています。2015年11月に限界集落に向かう農村に食に根ざした天然酵母・国産小麦の古民家ベーカリー「パンと農園 種と土」を立ち上げる。現在は妻の「里山の自然療法スクール&サロン ゆるむ」を空き家を再生し活動始動。これから「しつもん」を使って地域を興すことを企み中です。
寒川井 :ニックさん、ニックさんはどんな働き方を? 前はこの都会で働いていましたけども、今は岩国の方に。
桑名 宏樹(以下、桑名(ニック)) :今は山口の岩国の山の中におります。
寒川井 :生き方というか、そうとう新しい働き方のような気がするんですが、今はどんな活動をされてるんですか?
桑名(ニック) :あの今は、すごくニュートラルな、プータローみたいな状態です。
さっき名刺交換もしてたんですけども、去年に宗方さんと一緒にファンを作るとか好きなことをするというテーマの話をさせていただいたときには、(株)土という会社を立ち上げたんですね。
で、数ヶ月前に、グループ会社を立ち上げたんですけども、「食の事業を作りましょう」、しかも、「山の中の農地とか田んぼのある所で人の賑わいを作れたらいいよね」って。
今までの里山であれば、どんどんシュリンクしていくんだけれども、新しさを加えて何か変えられないかなと、一つの実験として会社を立ち上げたんですけども、おかげさまで、パン屋の方は、マックス1日300人くるような、全然人が走っていなかったようなところに人が来るようになったので、で、そこから離れ……、立ち上げといてまた離れます。
今は空き家を『空き家マーク』というところから探したりしまして、自分で大工をしております。床張ったり壁張ったりして、それが今後の新しく入ってくる移住者の、前もって自分が体験になったらいいなという、道筋をつけられたらいいなという意図で、ゆるりと。
で、帰ってまた、もゆるさんと同じように、肩書きを発見したいなと。
寒川井 :なるほど、また、肩書きが変わっていくんですね。
桑名(ニック) :はい。
寒川井 :なるほど、ニックさんです。よろしくお願いします^^
寒川井 誠
コンテンツ・クリエイティブ・デザイン(株)代表
一般社団法人しつもん財団事務局長/評議員
一般社団法人インターナショナルマネーフレンド協会理事コーチングやカウンセリングの要素を生かした独自のメソッドである「魔法の質問」のカリキュラム開発を担当する。質問するだけで、魔法にかかったようにやる気と能力が引き出され、行動が起こせるようになる「魔法の質問」を使った講座を、誰でも開催できるようにシステム化する。また、魔法の質問を使った講座ができる講師を育成しており、魔法の質問キッズインストラクターやコーチングの質問力が学べる問塾などの講師は2000名を超え、日本を超えて世界に広がっている。「じぶんらしさを講座にする」をキャッチフレーズに、講師の世界観や在り方を、受講生と共有する講座づくりを行なっている。
日本の「働き方改革」はちょっと行き過ぎ?
寒川井 :あの、まず、山本さんにお聞きしたいんですけど、あの、EC studioという会社からChatWorkという社名に変わって、ストーリーがあると思うんですが、個人的には最初、売上アップ支援のツール、業務改革というか業務の効率を上げていきましょうというツールに見えたんですが、今どうもワークスタイルを提案しているようにも感じるんですよね。
チャットワークというツールで、どんな働き方、ワークスタイルを提案しているのかなっていうのをちょっとお聞きできればと思うんですけども。
山本 :そうですね。元々はあの、ホームページの売上アップ支援の事業をやっておりまして、それであの、10年近く前くらいから売上アップ支援をして、「次、効率を上げて、コスト下げましょう、コスト下げたら利益出ますよね」と、そういう事業に転換していったんですね。
ただ10年前くらいから、働き方改革みたいな、本当に業務効率を変える方法をずっと提案してきた形で、なかなかその……。ようやくこの2年前くらいですかね。働き方改革、日本に帰ってきたらすごい働き方改革ブームになってまして。
寒川井 :なってましたね。
山本 :びっくりしちゃって。前までは「効率を上げましょう」というと、「いやいや、売上が上がることに興味があるんだけど。効率は上げるのはちょっとあんまり~」だったんですけども。今、皆さんが効率に向かって、「あ、時代がようやく~」というのが、ちょっとありつつ。
まさにそっちの方をずっとやっていて、前までやっていたのはG Suiteとか。ご存知ですかね? G Suiteも実はうちの日本第1号店なんですね。Googleに乗り込んでいって、「これを日本に広めるべきだ!」と。「いろんな効率化のツールをですね、仕入れてきて、セレクトショップみたいな感じですかね。売ってたんですけども、なかなか理解を得られないところがあって。
それだったら僕たちが持っているノウハウを一つのツールに全部詰め込んで、「使ったら自然に効率が上がっちゃうものを作っちゃおう」と。ですから、チャットワークは10年間くらいやってきた効率化の集大成が詰まっているので、気づいたら生産性が上がっちゃうみたいな感じのところを狙っているんですね。
寒川井 :なるほど。なるほど。
山本 :今15万社くらいですかね、使っているんですけども。
我々がチャットワークでやりたいことはまだ1/3くらいでして、あと二つぐらいあるんですね。
ただ、チャットワークだけで忙しくなりすぎて、時間がかかってるんですが、今、2つめ、3つめに着手し始めました。「メールの効率化をチャットワークでやりましょう」、次は、「会議が自然と効率化しちゃう」というところに入っていこうかなと……
寒川井 :なるほど。
山本 :考えてまして。「気づいたら、会議の時間が短くなった」とか、う「ちの社長、議題が飛ばなくなったね」とか、そういう方向にちょっと持っていきたいな、というふうに考えています。
寒川井 :うちは、社長がいないけれども会議が始まっちゃうみたいなことも、チャットワークのおかげで始まったりしますけども。ちなみに、「今の時代ってこんな変化が必要なんじゃなかろうか」というのは、何かありますかね?
山本 :えっとですね。今、逆に、働き方改革ということで講演とか依頼されるんですけども。逆にいま言ってるのはですね、行き過ぎてるんですね。日本は完全に行き過ぎちゃってまして。
今まで効率化を全然しなかったのに、いまは、とにかく、8時にはパソコンシャットダウンですね。副業OK、リモートワークOK、そして、賃上げ、みたいな感じになってるじゃないですか。そして、雇用を守る。
シリコンバレーより難しい働き方を日本人は目指してるんですけども、シリコンバレーがそれをできてるのは、いつでも雇用を切れるからなんですね。完全成果主義なんですけど、日本は成果主義を、昔失敗したからしない。
「雇用を守るけども副業もオッケーな風潮、リモートワークOKな風潮、経営者はどうやって利益を出したらいいんでしょうか?」みたいなフェイスブック投稿したら、過去最高の「いいね!」がつきました。皆さん、いいね!、10回くらい押したと思うんですよ。
そこまで目指しちゃってるんで、必ず揺り戻しがやってきますので、ここにいらっしゃる皆さんにはちょっとずつ登っていただきたいんですね。ちょっとずつ柔軟に。いきなりバチンじゃなくてですね。
揺り戻しがきたら、「やっぱりあんな副業はダメだったんだ」ってなっちゃうので、「いやいやいやいや、ちょっとずついきましょう、いきなりは変わりません」と。
寒川井 :いきなり変わると、不自然なところが出てくるんですかね。
山本 :ゆとり教育、やっぱやめた、というように、また戻る。ちょっとずつ変えていきましょう。
自転車で旅をする仕事は、実験途上
寒川井 :今の話を聞いて、もゆるさん何か感じるところありますか?
松田(もゆる) :私はもうチャットワークなしでは生きられない体になってまして。
寒川井 :体に(笑)。
松田(もゆる) :フェイスブックより見てるんじゃないですかね、1日。
私元々大手の企業にいて、クライアントに返信するのも会社のメールで。しかも、gmailもまだない時代だったので毎回、会社に行って返さないといけないのが苦でしょうがなかったんですね。
で、今、逆に旅してて、机の前にほとんどいないんですけども、スマホで、クライアントも、私、会社をやっていて50人くらいライターとやりとりしているんですが指示はチャットワークの機能にある”顔マーク”だけの時も。
寒川井 :顔マーク?!(笑)
松田(もゆる) :伝わるように暗号化してるんですけど、なるべく。
自分、自転車で走ってるんで、クライアントから連絡が来て、「あ、これはすぐ返信しないといけないな」というときに、お世話になります…みたいなことやってたらダメなんで、クライアントにも「こういう返事するんで」っていうのを伝えていて、クライアントも「走ってる人なんだ」って理解して発注してくれていることが多いのでそれができるんです。
寒川井 :なるほど。
松田(もゆる) :クライアントさんによってはメールとかFAXとかの人もいるので、そういうときに、私はITリテラシーを上げるための教育をクライアントにすることもあります。
形式張ったコミュニケーションの量が多いと、それだけで、単価がいくら高くても疲弊しちゃうので、そこらへんが柔軟にできるような仕事のスタイルっていうのは、チャットワーク無しでは今は考えられないですね。
寒川井 :自転車で走りながらっておっしゃっていましたが、結構自転車で移動されてるんですよね?
松田(もゆる) :そうですね。47都道府県を回って、海外も行くんですけども、あの、自転車旅が目的ではなく、自転車旅をしているときに各エリアに面白い人がいるんですね。
面白い人を訪ねて、で、そうですね。そこの人たちを取材してメディアに出したりするので。たとえば自転車旅したことある人少ないなと思うんですけども、(会場に向けて質問)自転車旅をしたことある人います?
寒川井 :二人おられますね
松田(もゆる) :自転車旅したことがある人って意外といるんですけど、だいたいの人がたとえば東京から京都に行くまでって言ったら、京都に行くことがゴール。
私は、京都に行くことは楽しいんですけど、その間に面白い人たちがいっぱいいるので、その人たちを見つけて取材して、「ここいるよーっ」と言うと、フェイスブックから「あの人もいるじゃん」と全国から情報が来るので、また取材して。このスタイルでアポを断られたことはないんですけ。
寒川井 :なるほどなるほど。その「好きをしながら仕事をしていこう」って思ったきっかけってあるんですかね、何か? 考え方が変わったというきっかけといいますか。
松田(もゆる) :そうですね。20代の頃、ワーカホリックすぎて仕事しかしてなかったその反動なのかもしれません。
結局は、「楽しいことやって誰かに貢献できてお金が入る、それがいいよな。いいのになんでできないんだろうな」。さっき、実験って言いましたけども、「まずはじゃあ、実験しみよう」って。
実験してダメだったらそこ難しいんだなって言えますし、働き方の実験して7年目なんですけど、基本うまく個人的には回れてるので、「こういうことできるんじゃない?」って発信することも、誰かの役には立ってるかもしれないので。
旅って結構、自己満足が多いじゃないですか。自己満足をしながらどう誰かに貢献できるかっていうのは、自分の旅スタイルを発信することだって。ライターだからそれをしやすいんですけど。なので徐々に徐々に徐々に、実験が進んできたと。
実験と考えると、失敗はデータベースになる
寒川井 :働くって、ニックさんにお聞きしたいんですけど、そもそも働くってなんなんですかね?
桑名(ニック) :結構、難しい(笑)。なんでしょうね。
なんか、さっきのセッションもそうですし、他のセッションも聞いてたんですけども、私がさっき、質問家してたときに、その「モテる」って言葉が出てきたんです。「モテる」っていうのは、自分ができることで周りが魅力的に思っていただくことで、そこに経済的な循環と心を満たす循環が生まれている状態が、たぶん理想的な仕事のスタイルかな、と思うんです。
で、僕は最初やっぱり、まず1万人以上の、いちばんいい会社に入ろうと学生時代に思ってたんです。
寒川井 :いい会社に?
桑名(ニック) :すごく安定重視だし、親父も公務員で、「ええ会社に入ったら、楽にできるから」とずっと言われてた。
僕もそう思って会社に入ったんですけども、人生の中の大きなつまづきがあって、14年勤めた会社を抜けたときに、なんかもう、大きな会社に安住するとかそういうことじゃなくて、ある意味、蓋が外れたというか、「自分が必要とされるところで何かできたらいいな」と。
そのときにフリーランスになって、ベンチャー的なところでお仕事していきたいってところで、なんかやっぱり、実験場だと思うんです。
寒川井 :実験場?
桑名(ニック) :仕事とかビジネスって、なんか最近、すごく実験の繰り返しなのかなと思っていてそれは自分が変わらなくても周りが変わっていくし、時代とともに変わっていくので、なので、お仕事って毎回毎回、もゆるさんはもう体当たりでやってますけども、僕はもうちょっとミニマムな感じの実験をしてるのかな、とお話を伺ってすごく思いました。
寒川井 :なるほど
松田(もゆる) :人生ってみなさん本番じゃないですか。本番だって構えると、失敗が怖いじゃないですか。
寒川井 :恐怖が出てきますよね?
松田(もゆる) :実験って考えると、実験って失敗もあり得る。失敗の積み重ねが成功になるので、失敗は良いデータベースなんですけども。
昔はそれは自分のみのノウハウだったんですけど、今は簡単にシェアできるブログだったり、SNSがあるので、その失敗を出してみることで、もうできてる人がいるかもしれないので、「あ、こうすればいいんだ」「あ、簡単にできるやん」という情報が返ってくることもあるので、それはもう実験と思って失敗も成功もどんどん出せるようにしてます。
とにかく実験の回数を増やせば、何か当たる
寒川井 :山本さん、なんか、ワークスタイルで実験してみたことありますか?
山本 :そうですね。私もですね、実験といいますか、チャレンジというか、失敗ばっかりするんですけど、そうですね。
とにかく実験、私も日本の経営とアメリカの会社の経営を、時差16時間の中で2社両方をマネジメントしてましたので。アメリカに行く前に、日本は30人の社員だったのが、5年の間に80人になったので、30人のマネジメントしかしたことないのにリモートで80人の社長になっていって、それで、日本側から見ると、なんかちょっと会ったことないけどチャットだけで指示が飛んでくる、ちょっと、神みたいな。
寒川井 :存在するのかな~って。
山本 :日本に帰ったら、社員がすごい恐縮っていうか、震えるっていうか、緊張してるんですよ。
僕はフラットなんですよね。で、あの、1回飲んだら、「社長ってこんなゆるい人なんだ」って思ってもらえるんですけど、なぜか神格化されてたってのがあって、それでですね。
実験は、もちろん、アメリカでは、10時から6時まで働いて、6時から家族とごはんを食べて7時からお風呂に入れて、 9時から10時くらいまで子どもと遊んで寝かせながら、10時から日本とミーティング、夜中1時、2時くらいまでして、朝また7時くらいに起きて、っていうのが、あ、このパターンならいけるなみたいなのを実験しながら、最初「どの時間でミーティングしたらいいんだろう」とかすごい思いながらですね。先ほど、アゲ妻セッションの方で話題になっていましたが、コミュニケーション全然取れなかったんですよ。
朝起きたらもう子どもたちバーっといって、で、出勤して帰ってきたら、またわーっといって、寝かせてそのままミーティングに入りますから、妻と普通に「これからどうする?」みたいな話が一切できてなかったので、朝の子どもを見送るときになぜか夫婦で行くという。幼稚園に行くと、なんか「なんでお父さんまで一緒に来てるんですか?」「なんで奥様まで来てるんですか?」って。「いやいや、コミュニケーションなんです」みたいな。「今じゃないとコミュニケーション取れないの」みたいな、そういうのも実験の一つですかね。
なんでもやってみて、失敗したらやめてみて、やってみて失敗して1割いかないくらいの成功率ですけども、とにかく実験の回数を増やせばですね、何か当たるじゃないですか。考えてやってるんですけどね、なかなか成功しない。
寒川井 :考えてもわからないですもんね。
山本 :やってみた方が早いなって感じで、どんどんサイクル回していくって感じですかね。
寒川井 :なるほど。
撮影:寺前陽司、上田修司、清川佑介