講演録『なぜ、愛妻家は収入が増えてしまうのか』Part3
パートナーを変えようするのではなく、全肯定をベースにコニュニケーションをとる。3人のスピーカーの、パートナーとの関わり方の共通点が明らかに。そして、最後のしつもんでは、パートナーシップの核心に迫ります。
2018年9月29日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA ミッドナイトセッション
▼登壇者情報
スピーカー/
後藤 崇仁
クリエイター・コンサルタント
内藤 勲
webプロデューサー
谷口 貴彦
コーチ
質問家/
中島 雅美
LoveGuide Messenger / エッセイスト
「こういうところはよくない」と言ってくれる人は、宝
中島:後藤さんはどうですか?
後藤:変えようとしないというところもあるんですけど…。
わたしがすごくいいなと思うことは、女性のパートナーから教えていただけることがすごくあるんですよね。
男性って仕事がうまくいったりすると、「万能の人物だ!」じゃないですけど、裸の王様じゃないですけれども、見えないところがたくさん出てきたりとか、あっても言ってくれる人がどんどんいなくなっていったりとか。
うまくいってるときは誰も言わないですけど、そうじゃないときには、「ま、あの人はそういう原因があったよな」みたいな、そういうタネみたいな。
仕事がうまくいってる人はそういう状況が多かったりする中で、そのすべてのところを取っ払って、いちばん近い女性がいい意味で変えない……。肯定するところは肯定しながら、ほんとにズバリと、「あなたのこういうところはよくないよ」と伝えてくれる人は、何よりも宝だったりだとか。
で、だいたいそういうふうに伝えても、最初は100%受け取らないと思います(笑)。
中島:あぁ、なるほどなるほど。
後藤:「何言ってるんだ!」とか「いやいや、そんなことない」とか、ぼくの場合だと「いやいや、うまくいってるのに何言ってんだ、おまえ」という気持ちは、一瞬出てくるんですけども…。
腕力とかで言えば、男性の方が強いわけですよね。そういう存在に対して、女性が真実を伝えるって、ものすごく勇気もいることだと思うし、場合によっては「こんなことわざわざ言わなくてもいいんじゃないの?」ということもあるかもしれないですけど、たぶん、あなたが言わないと、言ってくれる人がいなくなるということはすごくたくさんあると思いますし。
そこを言ってもらえる奥さんとかパートナーとか、異性同性関わらず、そういう人がいらっしゃる方は、めちゃくちゃ幸せだと思いますし。
ぼくはだいたい3時間くらい「ほんとかなぁ?」って、熊のように穴にこもって悩むんですよ。
中島:言われたときはね。
後藤:言われたときは。「そんなことないんだけど…、そんなこと…、あれ?そんなこと……、そんなことあるか!」みたいな(笑)。
で、ちゃんとそのあとは、「さっきはほんとに悪かった。そこまでちゃんと伝えてくれてありがとう」とか、「全然わかってなくてごめんね」とか。それを言ってくれたおかげで、「気づけたことがすごいたくさんあるよ」っていうことと…。
たぶん普通の女性というか、誰でも、そういうことを言って(相手が)聞かなかったら、「もう言うの、や〜めた!」とか「この人に言ってもしょうがないし」ってなる。それは職場でもあると思うんですよね。
「こいつのことはもういいし」「こいつのことはもう放っておこう、こいつ、こういう奴だし」って。
でも、奧さんにはそういうことを「伝えるのを止めないでくれ!」というのはお願いしてます。
中島:あぁ〜、なるほどなるほど。
その伝えるときというのも、奥さまは全肯定なんですよね。ベースは。
後藤:ベースは全肯定。
中島:「あなただから、できると思っているからこそ、敢えて言います」という感じなんですね。バーっと怒るとかではなく。
後藤:ま、男性はだいたい聞く耳を持っていないと思うので(笑)。
中島:(大笑い)
後藤:グサっまで言わないと……。
中島:あ、なるほど。
後藤:今回のテーマに興味があるような、収入を上げていくとか、仕事でチャンスをつかんで飛躍したいとか、自分の才能を世の中と分かち合っていきたいというタイプの人は、たぶん受け止められる度量がある方たちばかりだと思うので。
ぜひ、こう(野球の球を投げるピッチャーのようなジェスチャーをしながら)投げて(笑)。
中島:なるほど、投げる。でも、思ってもそれを待っておく。
後藤:あ、待って……。タイプにもよるかもしれないですけど、男性はいい意味で、咀嚼が必要なタイプって結構いると思うんで。
中島:うんうん。
後藤:なんかこう、野生の動物が洞穴にこもって、自分で傷を舐めて治してるみたいな(笑)。
中島:なるほど。舐める期間がね。
後藤:舐める期間が必要。
中島:その人によって(どれくらい時間が必要かは)それぞれ。
後藤:はい。
変えようとしない、尊重する、聞く
谷口:ぼく、お二人に聞いてみたいんですけど、お二人は、話し方の能力がすごく高いんじゃないかなっていう気がするんですね。
ぼくはですよ、プライドがあるんで、忠告とかされたくないんですよ。「こうした方がいいんじゃない?」とか。
それよりも、「わたしはこうしたい」とか「わたしだったらこうする」とか、何かその伝え方のノウハウや技術はあるんじゃないかな…、って思うんですね。
だから、肯定もそうだけど、ぼくはどちらかというと尊重なんですね。
中島:尊重。
谷口:「あなたがそう思う」のは尊重する。でも「わたしはこういう意見がある」、それも尊重する。
で、もうひとつ、伝えてもそれをどのように受け取るかは相手に権利があるから、それを尊重する。強制はしないし、たとえば「こうしてほしい」と何か言ったときに、それをまったく採用されなくても気にしない。それも尊重する。
受け取るも尊重するし、受け取らないのも尊重するし、その情報を生かすのも生かさないのも尊重していて。
そういう伝え方の技術はあるんじゃないかなと思っているんですけど…。
内藤:ぼくの場合は奥さんがもろそうですね。ま、肯定ですけど、質問があるときも「こうして」ってぼくを変えようとするんじゃなくて、「わたしはこう思う」って。
谷口:寂しいとか、辛いとか。
内藤:うん。それに対してぼくがどうするかは委ねるというか。
谷口:そこは尊重される。
内藤:はい。
谷口:そうなんじゃないかな。
内藤:ぼくの方が幼稚なんで(笑)。まだちょっと変えたがるときがあるんですけど。
谷口:ある。
内藤:それはすごく感じます。
中島:うんうんうん。
内藤:だからすごく学びはありますね。
中島:どうですか? 後藤さんは?
後藤:そうですね。ぼくは、「教えてほしい」と聞くことはすごくあると思います。さっきの話と通じているところもあるんですけど、お互いのことを……、ちょっと上手に言えるかな〜っていうところがあるんですけれども。
けんかをしたりっていうよりは、相手を傷つけてしまったりとか、がっかりさせてしまったりとか、場合によっては怒らせてしまったりとか。「あ、そういえば約束があるって言ってたのに、また忘れちゃってた」ということがあったりするんですけど。自分ではすごく直したいんだけど、何度もくり返してる。
自分じゃどうしようもできないから、それはなぜだと思うか、「美裕紀の視点から教えてもらっていい?」っていう形で、聞いたりは(します)。「もっとこういうふうにしたらいいか」とか「教えてもらっていい?」とか。
だいたい男性がよかれと思ってやってることは…、そうじゃなかったりすることが(笑)。
中島:(笑)。そうですね。
後藤:よかれと思ったのに「なんで⁉︎」みたいな気持ちになることが、愛妻家もどきみたいな人たちは……。ぼくはいっぱいあったんです。
なんかこう、喜んでもらえるかなと思われることを、本だったりだとか、ま、けっこうYahoo!ニュースのgoo girlとかに記事が出ていたりとか、見るのが好きなんですよね。
こういうところに男性が女性に(対して)ドキっとくるみたいな、そういう記事がけっこう好きなんですけど(笑)。
全員:(笑)
後藤:それを鵜呑みにしたりして、「きっと奥さんはこういうのを喜んでくれるに違いない」って思って、張り切った分だけ想像と違うと…。(笑)
中島:(笑)
谷口:なるほどね〜。
後藤:自分がやったりするのも、なんて言うんですかね、“前向きな独り相撲”みたいなことがすごくいっぱいあったりするので。最初は、「なんでこんなに素直に喜んでもらえないんだろう?」って、「ゔー!」ってなったけど、「いやいやそうじゃない」と思って。
やっぱり(相手に)答えを教えてもらう、というのがいいと思います。
中島:なるほど。
期待せずに、ただ信頼する
内藤:関連した話だと、期待しない…。いい意味で、期待しないようにしています。
期待すると「こうしてほしい」っていうふうになる。
谷口:あ〜。
内藤:そういうのが生まれたり、それができてないと「なんでだよ」っていう怒りが生まれてきたりするんで。期待じゃなくて信頼する。期待せずに、ただ信頼する。そういうふうにお互い思うようにしてますね。
谷口:あ〜、依存しないんですよね。
内藤:うん。
谷口:自分のニーズを満たすことを、相手の反応に依存をしない。
中島:相手の反応に求めないというか……。
谷口:求めない。だから、してあげた状態で、もうすでに自分の中ではニーズが満たされてる。だから、「こんなにしてあげたのに!」というのがない。
それは相手の反応に、自分のニーズを満たすことを依存しちゃってる。それがないかもしれない。
中島:なるほど。
内藤:あとはやっぱり、お互いが違うということを認める。
どんなにいい夫婦、仲がいい夫婦といっても、違う人間じゃないですか。だから、自分と同じようにしようとするんのではなくて、“違う”と認めてあげて……。
谷口:そう!前提は”違う”。
内藤:まるばつじゃなくて、自分がまるで、そっちは間違ってるじゃなくて、三角と四角で違うものって認め合えれば、感謝になったり、学びになったり、信頼に繋がるのかなって思うんで。
谷口:あと、理解されないっていうのが、ぼくは前提。
前提に、“同じではない”というのがあるから、だから理解しようとし続ける。
中島:ず〜っと、理解することを諦めないというか。
谷口:もう、理解することは、永遠にない!
だからずっと理解しようとする。
中島:しようとする。
谷口:あ、そういうことなのかと。
中島:なるほどなるほど。常に新しい発見のような。
谷口:うん。あ、ビジネスもそうですよ!
絶対に理解されないという前提でコミュニケーションを取らないと、齟齬が生まれたり、逆にいうとそこに不満が生まれたり、不足があったり、いろいろな問題が起きるので。ビジネスも、前提は、絶対に理解されないから努力し続ける。
中島:なるほどなるほど。で、自分で…(後藤の方を見て)独り相撲って言ってましたよね。自分の中で完結していく。相手に求めない。
愛するとは、どういうことか?
中島:みなさんに最後にお聞きしたいのが、ずばり、愛するとはどういうことだと思いますか?
後藤・内藤・谷口:……(考え込む)。
中島:(笑)。難しかったですか?
後藤:…あ、じゃあ、はい!(笑)
中島:お願いします。
後藤:そうですね。愛するという言葉は動詞なんですけども、意識しているっていうよりも…まぁ……(笑)。のろけみたいで、ほんっとすみません(笑)。
中島・内藤・谷口:(笑)
後藤:なんていうんですかね、愛しいし、愛しく思ってしまってる、みたいな。それはもうすべて…(恥ずかしくて顔を隠し)、ちょっとほんとすみません(笑)。
全員:(大笑い)
中島:もう(奥さまのことを)思い浮かべちゃってますね(笑)。
後藤:はい。そんな感じです(笑)。
中島:寝ている姿に言葉をかけるとかね。
後藤:ほんとにそういう……すべての挙動、行動、思っててやってくれること、少しでも時間が「愛おしいなぁ」みたいな。それが愛するということ。
中島:うんうん。お母さんが子どもを育てるみたいな、寝顔を見たら可愛いっていうようなことが当たり前のように起きている。
後藤:(自分は)お母さんじゃないので、(お母さんの気持ちは)わからないんですけど(笑)。
中島:余計なことをすみません(笑)。内藤さん、どうですか?
内藤:そうですね、愛するって、愛そうって思ってるわけではないんですけど。じゃあ、「愛って何かな?」って考えたら、相手が何かするとか行動とかじゃなくて、ただその存在に幸せを感じるというか。感じられることかなって、思いましたね。
中島:うんうん。谷口さん、どうですか?
谷口:う〜ん、愛する対象って別に人とは限らないじゃないですか。
環境だったり、未来だったり、いろんなことがあって。
だから、愛の対象物に対して関心をもって関わることじゃないかな。地球を愛してたら、地球に関心をもってそれに関わっていくとか。
それがパートナーだから、パートナーに関心をもって関わる行為、行動なんだとぼくは思います。
中島:うんうんうん。
谷口:だから、その人とコミュニケーションをとるし、話もするし、ともに何かをやるし、共同で時間を使うし。そうやってずっと関わっている。その関わる行為そのものなんじゃないかなという気がします。
中島:それとビジネスとの共通点は何だと思いますか?
内藤:愛?
中島:愛すること。
谷口:ぼくの場合で言うと、自分のビジネスのサービスを提供する相手に関心をもって、その人と、その対象の相手と関わりをもつこと。
中島:ありがとうございます。内藤さんは?
内藤:相手のことを認めて、喜ばせる。
かなって思います。
中島:ありがとうございます。後藤さん。
後藤:そうですね。ビジネスだと、もちろん相手とかお客さんもいらっしゃると思うんですけど、自分のしている活動そのものをたぶん愛するという。
「これ、すっごく何時間もやっちゃう」とか、「好きでたまらない」とか、それがすごくビジネスと通じているんじゃないかと思います。
谷口:(何かを思いついたように、深く)あーーー。
稼いでない人って、仕事を愛してないですよね。辛そうにやってる人います。
中島:「やらねばならぬ」とかそういう感じ。仕事も活動も奥さまも愛していく。愛する。大切に関わっていくと。
深いお話をどうもありがとうございました。
後藤・内藤・谷口:こちらこそ、どうもありがとうございました。
会場:(拍手)
写真記録チーム/田島聖子、多賀 健、猪野裕介