ホスピタリティは相手軸。目の前の人に何ができるかを考えること

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講演録『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』Part1

 

ブライダルの専門家、食と健康のプロ、そして最高のホスピタリティを教える専門家。3人のスピーカーに斬り込むのは、接客を教える専門家。それぞれの立場と経験から、ホスピタリティの本質に迫ります。

2017年10月1日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション7A


▼登壇者情報

スピーカー
鈴木 克彦
あなたの才能を見つけ出し売上げ平均4.9倍にする起業家育成の専門家

上杉 祐子
(有)フェスティーナ 代表

田頭 和み
豊受株式会社 代表
1日1組様限定お食事処「おなかま」 女将

質問家/
兼重 日奈子
(有)ねぎらいカンパニー代表


兼重 日奈子(以下 兼重): はい、みなさん、お疲れ様です。いよいよ本日の最後のセッションになります。

こんにちは!愛知県から参りました。楽しい場をみなさまと一緒につくりたいと思います。よろしくお願いします。

しつもんカンファレンス『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』

兼重 日奈子 ニックネーム・ひなさん
http://kaneshigehinako.com/

(有)ねぎらいカンパニー代表。ねぎらい学アカデミー主宰
元アパレル販売員から、研修講師に。のべ一万店舗のお店を臨店指導する中で「ねぎらい」(成果の有無に関らず労苦に感謝すること)の重要性に気付き、「ねぎらいワーク」を取り入れた研修を導入。現在は、研修会社の経営、及び個人向け講座「ねぎらい学アカデミー」を運営。最新刊「慕われる店長になるために大切なこと」好評発売中。

 

兼重: テーマが「ホスピタリィティ」ということで、事前の打ち合わせでどんなに素敵なやさしい話になるかなと思っていたのですが、どうしましょう……、喧嘩が始まりそうな、ものすごい!いろんな人がいまして、ぶっちゃけ……、どうなるのかがわかりません(笑)。

それぞれ強い思いをお持ちのみなさんでいらっしゃるので、この人の話を聞いておこう、この人の話はやめておこうなど、聞いておられるみなさんの感性でそれぞれに選択してもらえたら、嬉しいと思います。

さっそくですが、自己紹介を兼ね、今の活動と、本日、呼んでほしい名前を話していってください。

よろしくお願いします。では、和みさんからお願いします。

田頭 和み(以下 和み): こんにちは! 田頭 和みと申します。みんなは『なごちゃん』と呼んでくれています。今日は東京から参りました。

しつもんカンファレンス『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』

田頭 和み  ニックネーム・なごちゃん
http://104uke.com/

豊受株式会社 代表、1日1組様限定お食事処「おなかま」女将
キッチン+ナイチンゲール=キッチンゲール達の身体と心が治癒する食事の提供。店舗「おなかま」にて、また企業にも食育とそもに導入し「健康経営」をサポート。
エグゼクティブを中心に心と身体の体質改善コンサルタントとしても活動中。

 

和み:私、自分が何者なのかわからなくなっています。

「ホスピタリティ」のテーマで呼ばれたのは、活動の中で東京の下町で1日1組様限定のお食事処をやっているので、ミヒロさんがその辺を勘違いしたんだと思います(笑)。活動名は、『キッチンゲール』といいます。キッチンとナイチンゲールを掛け合わせた造語です。

お台所から人が治っていくようなお食事を提供していくこと、日々、働く人たちがそれを食べることで、自然治癒力を上げて、自分らしいありのままの姿で働いていただくという企業の健康経営のサボートをしています。

今、5社くらいの企業に2~300食、健康的な食事を提供しています。

ご飯を出しているだけでは何もおきないことが数年やってわかったので、マクロビオテックをベースにした食育アドバイスをしています。たとえば、悲しく落ちこんでいる人に、「知ってる?秋は寂しい気持ちになっちゃうの。それは、肺が呼吸すると寂しい気持ちになるからなのよ。気のせいだからね」といって、視点が変わるようなお話をしたり、経営者の体質改善のお手伝いをしています。

よろしくお願いします。

兼重: 続いて、鈴木さんお願いします。

しつもんカンファレンス『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』

鈴木 克彦
http://h-resource.net/hp/

元プロバスケットボール選手 あなたの才能を見つけ出し売上げ平均4.9倍にする起業家育成の専門家
現在は、独自に生年月日の理論を開発した「統計心理学」をベースに、世界トップクラスから学んできたマーケティング、教育、ホスピタリティの理論を加えビジネスを次のステージに導く指導を行う。日本一結果が出る起業塾を東京・大阪で主宰している

 

鈴木 克彦(以下 鈴木): みなさん、こんにちは!鈴木克彦と申します。今日は大阪から来ました。元々バスケットの選手で、今は起業家の育成とか、いろんな企業のリーダーの育成をメインにしています。

ホスピタリティとの関わりは何かというと、ず~と日本一、世界一を勉強していまして、先日、リッツカールトンにも加賀屋さんにも行って来ました。そういう日本一、世界一の教育の裏側とか非常に興味を持っていまして、そこでホスピタリティを学んでいる内に、いろんなところでホスピタリティについて聞かれるようになりまして、話すようになったということでしょうか。

また、起業家を育成していく上で、ホスピタリティって必須なんです。詳しくは後で話します。ホスピタリティを専門的に教え出したら、リッツカールトンのスタッフよりホスピタリティをわかりやすく話すと言われだしたのが、専門家となった理由です。よろしくお願いします。

兼重: のっぽさん立ってもらっていいですか?みんなで立ちましょう!(司会者を含めスピーカー全員が立ち上がる。会場、一斉に大きなドヨメキが起こる)

しつもんカンファレンス『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』

兼重: すごいね~、さすが、元バスケの選手ですね。そこからなぜ今に至ったのか非常に興味がありますよね。ありがとうございます。

では、最後にゆうゆさん、お願いします。

上杉 祐子(以下 ゆうゆ): みなさん、こんにちは!沖縄県在住です。

沖縄県内のホテルでブライダルの仕事を主にさせていただいています。ブライダルのお仕事ですからいろいろな会場も行きますし、いろいろなホテルの方と関わり、いろんなお客様からお話をお伺いすることが多いです。

ただ、私は勘だけで生きている人でマニュアル人間じゃないので、このお話が来た時に「私ですか?」とお尋ねしたくらいです。

でも、こういう場に呼んでいただいたということは何か意味があるということと、鈴木さんのお話も興味津々で聞きたかったので来ました。

みなさまと一緒に学ばせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

しつもんカンファレンス『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』

上杉 祐子  ニックネーム・ゆうゆ
http://www.festina.co.jp/

(有)フェスティーナ 代表、魔法のしつもん認定講師
ブライダル衣装・美容を専門とする仕事の傍ら「人生を変える質問」ワークショップやカラーセラピー&アロマを日々の暮らしの中に取り入れ心身を整えるセルフメンテナンス の方法もお伝えしています。沖縄在住。ミックスカルチャー沖縄の隠れた魅力もお伝えします。

 

兼重: とってもラッキーです。沖縄にはどんなステキな所があるんだろうと思っています。沖縄のことはゆうゆに聞いてください。

では、最初の質問からいきたいと思います。

テーマが「また行きたいを生み出すホスピタリティの秘訣」ということですから、和みさんから、「また行きたい!」でもいいですし、「ホスピタリィティ」でもいいです。どう思われますか?お願いします。

 

サービスとホスピタリティの違いとは?

和み: え~と「また行きたい」とか意味がわからないんですよね(笑)。なぜかというと、1日1組のお店は、家としてつくっているので帰ってくる場所なんです。だから、お帰りにお代をいただいて、「いってらっしゃ~い」だし、ご予約で「お帰りなさい」という所なので、「また、行ってみたい」って何~、みたいなということを思っています。

そういうお家をみんな、いっぱい持ってりゃいいじゃんって思うし、ホスピタリティってあまり馴染みがない言葉なんです。

どういう思いで何をしているかと言うと、人の体を治す食事を作っています。全員に美味しい食事はないと思っています。

6~10人集まってもらった時に全員に美味しい食事は提供できないので、1日1組しか受け入れなかったという中でのホスピタリティが何かと思うと、魔法の質問の人たちだから、こういう言葉を使うのですが、「祈りの儀式」のようなもの(笑)で、『あなたが幸せになりますように』ってやっているだけ。

それが食事だったり、掃除だったりするだけですから、ただ、祈っているという感じです(笑)。

兼重: ありがとうございます。

では、最高のホスピタリィティを伝えておられる鈴木さんはどうですか?

鈴木: まず、いろんな定義と基準があると思います。一つの定義としてお伝えしたいのは、ホスピタリィティとサービスは明らかに違うということです。

みなさん、サービスメニューってありますよね。わかりますよね。お店に行くと出てくるサービスメニュー。あれは、誰がつくっていますか? お店ですね。サービスというのは、100%お店側が作っています。

ホスピタリティは相手軸。サービスは自分軸です。

ホスピタリティに99点とかいうのはありません。相手がまた来たいと思うかどうか、ここに帰って来たいと思うか、そう思わないか、それしかないんです。それ以外は0点と一緒と思っています。

和み: はっきりしていますね(笑)。

兼重: ちなみに今のお話でいきますと、サービスという語源は、ラテン語で奴隷、召使い、自分が奉仕するという形になるんです。まさしく、おっしゃっていただいた相手軸ですね。

鈴木: はい。それともう一つのテーマが「また行きたい」思うかどうか。これは、ホスピタリィティでは『エンゲージ』という言葉をよく使います。最近、マーケティング用語となってきました。どういうことかと言うと、「あなた以外、考えられない」という基準です。

あっ、エンゲージリングって、みなさん、売っているの知っていますか?たぶん二人の女性に渡した男性はあまりいないと思うんです。2つ3つとか・・・

兼重: たまにいます。

鈴木: その人は犯罪ですよ(笑)。

ゆうゆ: 時間差が……

鈴木: 時間差があったらしょうがないですね。あなた以外に考えられない人に渡す訳ですよね。

兼重: なるほど

鈴木: ですから、「あなた以外は考えられない」という基準を、頑張って相手に思ってもらうということが、ホスピタリィティの原理原則だと思います。

兼重: なるほど、勉強になった。

じゃあ、どのようにして、みなさんが実践しているかということをお聞きしていきたいと思います。引き続きゆうゆ、お願いします。

ゆうゆ: ホスピタリティでまず、浮かぶのは仕事とか義務とか役割だけではないと思います。もちろん、プロとして役割を求められていることは当たり前のことで、私たちは、ホテルに入っていて、お客様から見れば、ホテルの人か外部の人かということはわからないのです。ですから、自分の部署だからとかは関係なく、目の前の方にして差し上げられることを考えることが大事です。

プライベートでもどんな場所でも、縁のあった方にはすべてその気持ちを持つことが、私にとってはホスピタリィティかなと思っています。そして、そのような気持ちでいつもいたいと思っています。

兼重: ありがとうございます。やっぱり、沖縄にまた、来たいですね。その土地とか、海が綺麗だけとかではないですよね。人の温かさですね。

ぜひ、みなさんにお伺いしたかったのですが、これまで経験したり、実践した中での最高のホスピタリィティにどんなおもてなしがありましたか?

和み: いちばん、最後がいいです。

兼重: あ~わかりました。では、鈴木さんから。

 

スピーカーたちが経験した最高のホスピタリティ

鈴木: 何分、話していいですか?(笑)

え~とね、何から話したらいいのかわからないんですよ。だいたい、毎回、良くしていただいているんですよ。言っちゃうと迷惑をかけるんですよね~。

しつもんカンファレンス『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』

兼重: どなたに?

鈴木: 僕に良くしてくれる人にそれを期待して、みなさん行くでしょ。だから、僕はフェイスブックとかにも一切、上げないんですよ。

兼重: なるほど

鈴木: 今日、ここは、まあ~、クローズなのでいいですかね。

ぼく、背が高いですよね。このホテルの先に沖縄のリッツカールトンがあるんですけど、ぼくのサイズのパジャマが刺繍で置いてあるとか、後は、東京のリッツカールトンには、毎月泊まりますが、そこには僕の荷物が置いてあります。いつもしてもらっているので、何とも言えない。おもてなしと言えばおもてなし、そうじゃないとも言える。

兼重: 他所ではやってくれませんよね。

鈴木: そうですよね~、もっと、言っていいですか?

わかりやすいところでいうと、みなさん、よくお見送りとかされませんか? しますよね。日本一のサービスを続けてされている加賀屋さんとかは、仲居さんが全員で電車の中まで来て一緒に遊んでくれて、見送ってくれます。

周りの旅館はどこもやってくれません。見てできるものでもない。ぎりぎりの人数でやっている所ではできない。チームワークの良さとお互いの信頼関係が、持ち場を離れることを可能にしているのです。

もっと、言いましょうか?

兼重: ありがとうございます。

ゆうゆ: 実践はまだ思っているところまでは到達していないので、一流の所で素晴らしいホスピタリィティを体験することはあるのですが、真逆の体験をしています。

海外旅行をした時に予約もなしで小さな宿に泊まりました。スタッフは一人だけだったんです。その時、一緒に行った友人が翌日、誕生日でしたので、お花屋さんを探したのですが、見つからなくて困ってしまい、フロントの方にお尋ねしましたら、「大丈夫」と言ってくれました。

そして、翌朝どうやってセッティングしてくれたのか、ステキな誕生日の飾りがなされていたのです。もちろん、期待はしていなかったのですが、一人で全部、その時にできる限りのことを、また次に来るかもわからない日本人にしてくれたことは、もう、一生忘れられない場所になりました。最高じゃないけれど、忘れられない体験になりました。

兼重: まさに、そのお話を聞いて、ホスピタリィティの力そのものだろうなと思いました。終わった後から広がっていくというものですね。ありがとうございます。

和みさん、どうですか?

和み: 思い出しました。ホスピタリティとは、未だに何なのかわからないのですが、魔法の質問のマスターの1春の講座の課題だった、シークレットパートナーを喜ばせ続けるという宿題があるんです。相手にバレてはいけないんです。

(次の講座までの)間の2カ月間は幸せでした。毎日、宅急便一個にウキウキでした。「あっ、これは私の頼んだアマゾンだ」とか、「スタッフの頼んだ何々」だって、えって振り返ってしまって、ずっとウキウキでした。

宿題なので私もやらせていただいていて、相手がどんな気持ちになったかは内緒のままで、わからないんですけれど、あれは、まさしくホスピタリティを受け取ろうという大皿を広げて待っていた時間だったなぁ~。あれは良かった!

兼重: 受け取る準備ができていたら、する方も幸せですよね。

和み: すごい、いい!やっていない人がいたらとっても良かったので、ぜひやってください。

兼重: まさにエンゲージに通じますね。その人のための2カ月間ですね。

和み: 期待しているようでしていない。何とも言えない感覚でした。

 

しつもんカンファレンス『また行きたい!を生み出すホスピタリティの秘訣』

(パート2 へ続く)

撮影:寺前陽司、上田修司、清川佑介

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