講演録『なぜ世界中のエグゼクティブは船に乗るのか?』Part2
3人のスピーカーが口を揃えるのは、クルーズ船の上で過ごす“時間の豊かさ”。寄港地で観光すること以外の楽しみ方と船の上での人との出会いについて、それぞれ語っていただきました。
2017年9月30日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション3A
▼登壇者情報
スピーカー/
宮地 理津子
Current-R株式会社代表
日本医療ホスピタリティ学会 理事
日本歯科医療コーディネーター協会(JAMDPC)代表
仲町 康治
Mr.クルーズ
東山 真明
マーキュリートラベル株式会社代表
質問家/
WAKANA
ホリスティックライフコンサルタント
人生が変わるきっかけになったのがクルーズ
WAKANA:その船にね、初めてご縁があって乗ったんですけれども、その後ですね、人生がどんどん変わっていった、というか、自分で変えていったきっかけになったのが、そのクルーズだったんですよね。
そう考えた時にクルーズって、確かに人生を変えていく人もいるかもしれないけれど、たぶんいろんな思いの人が乗って来ているのかなあと思うんですけど。
仲町(Mr.クルーズ):クルーズに、ぽっと行くのが日本の方はなかなか難しいじゃないですか。だから、その時点で、なんかやっぱり、自分が変わろうとか、そういうのが下地にあるんじゃないかな。
WAKANA:確かに、そうですよねぇ。
さっき東山さんがおっしゃっていましたけれど、クルーズに本当に世界中のエクゼクティブというか、すごい人が乗ってくるっておっしゃったじゃないですか、ちなみにどんな人たちが乗ってくるんですか?
東山:えっと、なんで僕がそんなスモールラグジュアリーに行き着いたかというと、根っから船が好きで、会社を作って、今年で16年目くらいなんですね。
で、欲望のままなんですよ。もっといい船があるだろうと、世界でトップの船はどれなんだ?と、そうやって考えていったら、「ああ、いい船は小さいんだ」ということに辿り着いたんです。
WAKANA:なるほどね。
東山:だから、いい旅館って部屋数が少ないじゃないですか。
WAKANA:確かに!
東山:同じなんですよ。
7月にご一緒した船は、たった240人しかお客様が乗っていません。どう感じました?
WAKANA:いやあ、あのね、先ほど言った6000人の船も経験させてもらって、初めて、私の中ではいちばん小さい船だったんですね、240人という。あれ、何階くらいある?
東山:デッキは6階ですね。
WAKANA:そうですね。
東山:たった6階しか。
WAKANA:大きい船、さっき言った船は17階くらいあるんですよ。なんですけれど。その小さい船はね、6階しかない船なんですけれど。
あの、何もないじゃないですか、小さい船って。エンターテイメントとか、あとラウンジとか、こう、遊べる場所があんまりないんですよ。
で、「何して過ごそう?」って、正直、最初の1日目とか思ったんですよね。もちろん毎日寄港地に留まる、島に留まるので、そこで島で過ごすって楽しみもあるんだけど、「さて、じゃあここでどんな過ごし方をしよう?」って最初の頃は思ったんですけれど。
だんだん過ごすうちに、あの小ささだったり、あとね、何もないことで、安心して何もしない時間を過ごせるっていう贅沢さを、そこで初めて感じたんですよ。
東山:なるほど、確かに設備は船が小さいので大型船に比べたら少ないんですよ、アトラクションも少ないんですよ。ということは、その人のライフスタイルが求められるのですよ。
WAKANA:なるほど。
東山:自分が乗って何をしたいか。
まあ、ベーシックなところだと読書というのはすばらしい船での過ごし方なんですよ。世界共通のすばらしい、地味かもしれないですけれど、すばらしいんですよ。読書三昧でもいいんですよ。僕も、買ってもふだん忙しくて読まずに溜まっていく本をいつも持っていく。それが楽しみなんですよね。
クルーズで、人脈を得られる?
東山:あとは、すごい人と出会ったという意味では、究極の船はお客さん100人・お世話するクルー100人という船があるんですね。シードリームという。
WAKANA:一人一人ですね。
東山:そうなんです。マンツーマンですよ。その船は春夏は地中海で、秋冬はカリブ海って決まっているんですね。
あるカリブ海の島に着いたら、我々のそのシードリーム(という船)は100人乗りなんですけれど、その後ろに個人で所有する船がきたんですね。その船が我々の船より大きいんですよ。
個人所有の船が、俺たちの乗っている客船よりでかいんですよね。ですから、だんだん船の中で噂が広がるんですよ。あれはどこの誰が持っている船かって。どうもロシアのオーナーなんですよね。
で、その時に着いた島がセントハウスっていう南カリブ海のフランス領の島で、その島の半分の領土もそいつのもんだということがわかったんです。
そういう噂に出会えるのは、そのスモールラグジュアリーに乗らないと出会えないですよね。
WAKANA:確かに!その例で言うと、あ、仲町さんご一緒したんですよね。
仲町(Mr.クルーズ):しました。
WAKANA:その船に乗ってまた一つ気づいたことがあったんですけれど。お客様がね、素晴らしいんですよ。
船ももちろん素敵なんだけど、コンセプトも素晴らしいんだけれど。何よりお客様に私はすごい感銘を受けたんですよね。素敵でしたよね。
仲町(Mr.クルーズ):そう、だから、船の選び方ってあって、やっぱり人脈を、いい人と巡り会いたいとかいう人は、高級船に乗るとそういう人がいっぱい乗っている。
WAKANA:人脈で!へえ!
仲町(Mr.クルーズ):そうです。食事を一緒にした人がね、すごいお金持ちだったりとか。
WAKANA:確かに!そういうことあるんですよ。みなさん。
仲町(Mr.クルーズ):はい。カジュアル船はそうじゃなくて、一般の人の方が多いから。だから人脈作りに行くんだったら、いい船。高い船。
WAKANA:なるほど。ちなみのそのカジュアル船もすごくたくさんの出会いがあると思うんですけれど。なんか仲町さんが今までたくさん船に乗った中で、こんな面白い人と会ったよ、みたいなことは?
仲町(Mr.クルーズ):あのね。あれはイタリアの船に乗った時に、たまたまランチで一緒のテーブルに座った人が「今回のクルーズが250回目のクルーズなんだ」っていう。
で、夫婦で来ていないのよ、一人で来ているのよ。うん。よっぽど船が好きなんだろうと思うんだけれど。
キャプテン主催のカクテルパーティなんかがあるんだけれど、そこで昔は「何回うちの船に乗ったか?」とか手をあげたりしていたんだけれど、もう本当500回とかいう人がいるんですよね、いっぱい。
だからすごいなあと思いますよね。
WAKANA:本当、何しているんですかね、そういう人たち。何してというのは、暮らしたり、まあその船に乗ったりするお金を稼いだり。
仲町(Mr.クルーズ):ああ、でもね。見ているとやっぱり雰囲気があって、やっぱり、会社経営されていて引退されたとか、そういうオーラが出ていますよね。
WAKANA:オーラが出てる(笑)。なるほどねえ!へえ。
理津子さんは、本当に、まさにもう素敵な人というか。
ポナンていう船にね、乗った時、それこそ200人の小さな船。ポナンていう名前なんですけれど。その船に乗った時に、本当に、ただこういらっしゃるだけで、優しさとか愛とか品格? ふわってこう、出る方がいるじゃないですか。そういう方ばかりだったんですよね。
まさに理津子さんのような方だったんですけれど、はい。
バケーションという概念が、日本にあまりないじゃないですか。忙しいという中で。ご夫婦でお仕事されているから、お忙しいと思うんですけれど、お忙しい中でもそういったバケーションをとって豊かな時間を過ごすことに対しての、何だろう、ブロックというかね、そういうのは最初なかったんですか?
理津子さん:そうですね。あの、やっぱり日本人というかな、こう、本当に『働かざるもの食うべからず』というか。そういう私も、父が昭和一桁ですから、なんか、そういうマインドコントロール(笑)。
やはり今はもう、働き方というものがすごく変わって、時間ということよりもクオリティ。
でも私、いろんな海外のエグゼクティブの方を見ていて(思うのは)、日本人以上にすごく働いています。
あの、みんなボーッとしているかというとそんなことはなくて、逆に私は、日本の人の方が「大丈夫かなぁ」みたいなところがあって。大きく違うのはですね、やっぱりオンとオフが全然ないんですよね。そういうところ。
きっとこれからは、すごく質がね、何時間働いたということより質がこう問われている。
だからこそ、うーん、私は「つくる」。もう、あえてそういう時間をつくるっていうことはすごく大切で。
たぶん同じ1週間、2週間でも、まあいろんなプランがあるんだとは思うんですけれども、やっぱりそこで本当のこのバカンスというのは……。
私ね、いろんな旅をしたんですけれど、あのねクルージングというのは特別なんですよね。乗ってみないとわからないところはあると思うんですが、うーん。
WAKANA:その特別感を、ちょっとこう言葉にしてみると。
理津子さん:ですね。たとえば、私にとっての豊かさなんですね。そこは。それは何かと言うと、私が乗った船は……、私、なんか船のことはあまり詳しくなくてごめんなさい。あの。
WAKANA:大丈夫、詳しい人はこちらに揃っています、はい。
理津子さん:ブレックファーストの前にアーリーバードというなんか、なんかちょっと簡単なクロワッサンとかそういうのがこうデッキに準備してあって。で、とにかく全部ついているから、最初のうち、物珍しいからすっごい食べちゃう。と、もう次の日とか、ちょっとまあ朝食だけは軽くしようと思う。そうすると、そこに来ている方って、だいたい2日目とか3日目とか同じ人なんですよね。
WAKANA:うんうん。
理津子さん:さっきおっしゃられたように、その人の過ごし方みたいなものがあって。
で、ちょうどわたくしの母ぐらいの方と、毎朝そこで会うんですね。そうすると、「今日は何するの?」とか、「どこから来たの?」とか、そういうような話をするときに、だんだん最後のほうの…。私はすごく短くて4泊5日だったのですが、「もうそろそろ終わっちゃうね」なんていう最後の日に、なんか急速に仲良くなるんですよね。
WAKANA:そう!不思議ですよ!
理津子さん:なんかあれ、不思議なんですよ。「前からこの方、知ってたんじゃないかなあ」みたいな。
そうすると、いや、どのくらいお金持ちなんだ?みたいな感じで、すごく上品ですけれど、こう見るとわかって。で、こうお話をしている時に、いくらとかお金の話になると、わたし、あのゼロはね、ちょっと書かないと計算できないぐらいの、なんか桁数なんですよね。たとえば、どういうものを所有していて、それがいくらぐらいなんだとか。
「ニューヨークに住んでいて、ヨーロッパに来ている、ふだんはサウスハンプトンというところに別荘を持っていて」とか。別荘の敷地もなんかもう、数字が日本では考えられないくらいの数値だったのですが、その方とお話ししていて。
わたしね、「でも、お金だけじゃないんだなあ」というふうに思ったことが、悩みのない人って、いないじゃないですか。いろんな悩みはあって。やっぱり彼女も、お孫さんのことだとかお嬢さんのことだとかで、いろんな悩みはあるのね。
で、すごく共感したのは、わたしの方はお金とかそういうことでいったらすごいちっちゃいんですけれど、悩みにしてみたら彼女と同じ。なんかそんなことを話して、コーヒー飲んで、「ああ、もうそろそろ着くね」なんていうことを話している時に、「でもあそこにいたから、新しいまたライフが始まるから、今日も1日頑張ろうね」みたいな。
私はその時に、すごく、「あぁ、なんてちいちゃなことで悩んだりしてたのかな」というかね。なんかそういうふうなことが節々にあるんですよ。
船の上での楽しみ方は、自分で作る
理津子さん: たとえば寄港地から帰ってくるときも、バーがあって、ちっちゃいところだと2カ所ぐらいしかバーがないのですが、みんなすごく上手に時間を使っていて、あの、まずちょっとシャンパン飲んだりとかしながら、楽しんでいらっしゃる。
エンターテイメントもほとんどなかったのですが、こんなにみんなダンスが好きなんだっていうくらいに、ディナーの後にキャババンドが入っているのでダンス。私たちはあまり上手じゃなかったので、主人と「あぁ、ちょっと習いに行こうか」みたいな、「帰ったら習いに行こうか」なんて。
なので、みんな本当にね、いろんな楽しみ方をしていました。
それを、どうしても日本だと、誰かが作ってくれたものの中に、自分が入って楽しむみたいな。わかりませんか? なんか、すごく完璧主義、日本ってそういうところが。
でも、自分で楽しみを作るみたいなことを、私はすごくクルーズで学びました。自分から楽しみを作る。
東山:だから、船が着いて、たとえばローマに着いたらトレビの泉にとかね、名勝旧跡に絶対行かなきゃなんてことはないんですよ。日本のお客様は必ず行こうとするんですね。「2度と来れないかもしれないから」とか。
WAKANA:そうそう、せっかくだからってね。
東山:それをちょっと余裕を持って、その日ちょっと船でゆっくりしたい。それでもいいんですよ。
降りなくても、食事も全部用意されているんで。「また来ればいい」っていうくらいの、「ローマにまた来ればいい」ってぐらいの大きな感じでね。
それをがっついて、毎日名勝旧跡を回らなくてはいけないってことはないですよ。
大型船だとバスでガーって行く傾向なんですけれど、小さい船のお客さんは、あんまりそういう指向性はないんですよね。だから時間がゆっくり流れていたでしょ、実際のところね。
WAKANA:そうですね。「自分のペースっていうのはこのぐらいのリズムだったんだ」ということにね、陸から離れることで、またね、ちょっと人から離れて、街から離れることで、本当に自分だけのリズムの音が聞こえてくるみたいな時間だったなって、確かに思います。
仲町(Mr.クルーズ):大型船でも、寄港地に寄っている時にみんな降りるわけです。
WAKANA:そうですね。
仲町(Mr.クルーズ):お客さんが。そうすると船ん中がシーンとする。そこが本当すっばらしい。
WAKANA:プールついてるし。
仲町(Mr.クルーズ):ああ、もうだから、たとえば、カリブ行ったって、みんな似たり寄ったりじゃない。
WAKANA:そうですね。カリブ海、南米のね。
仲町(Mr.クルーズ):そうすると、一つの寄港地だけ選んだりとかして、あとは船で過ごす。船から降りない。
そういうような遊び方って、あんまり想像つかないと思うんだよね。そういう方が面白い。だから日本の人は船のスケジュールを見たときに、何カ所寄港するか?とかそれで決めるわけ。
WAKANA:えーっ。
仲町(Mr.クルーズ):僕なんかはできるだけ止まらないところが多い方がいいとか、そう思うんですよね。
WAKANA:としたら、船のクルーズっていうのは旅行じゃないんですね。
仲町(Mr.クルーズ):旅行じゃない
WAKANA:旅行だと、ね、ここに行って、この観光地に行って、ここでお土産を買おうって、ね。ここで何かを食べようとか、そういう過ごし方が一般的な旅行ですけれど、クルーズも旅行の感覚を持ってみなさん乗られると思うんですけれど、今話を聞いてたら、旅行じゃないですよね。
東山:ベストは、自分の家のごとくリラックスできたら、ベストですよね。
WAKANA:あ、なるほどね。
東山:最初、乗った瞬間にテンションが上がって、こう、楽しいけれど疲れている自分があるんですよ。3、4日経って、やっと体が馴染んでくる。
そっから面白くなって、爆発的に友達が増える。さっきおっしゃっていた、友達が急激に増えるんですよ。
普通のツアーにはない、一体感が生まれる
WAKANA:あの、本当にね、さっきお話にもあったように、船の中での親近感というか、深いつながりが一瞬でできるのは、あれはなぜなんでしょうかね。
仲町(Mr.クルーズ):やっぱりみんな同じ意識で乗っているからだと思うんですよね。
WAKANA:同じ意識?
仲町(Mr.クルーズ):はい、みんなやっぱり、レジャーを楽しむために乗っているし、それでなんというかな、あの、今日はあっち行かなきゃ、こっち行かなきゃというのはあんまりなくて、だから、あの船の中を歩いていると、だいたい気になった人とは何回も会うんですよ。一航海の中で。
そうすると「ああ、あの人とちょっと話してみたいな」とか。そういうのでも、船の中は全然ガードで固めたりしないので、気楽に話ができる。それでもうちょっと話ししたら、「食事も一緒にしよう」とかね、そういうふうに発展していくし、「今度、私の住んでいる国に来たら、うちに寄りなさい」とか、そういう話はしょっちゅう聞きますよ。
WAKANA:あったんですよ、私たちも。
ある船に乗った時に、7泊8日の船だったんですけれど、あのね、毎日すべての寄港地で会うんですよ。で、レストランでも会うんですよ。レストランもその船は3つか4つあったんですけれど、必ず会うんですよ。寄港地もバラバラだし、行く場所もバラバラのはずなのに、必ず会うんです。
ていうご夫婦がいたんですね、アメリカ人の、シカゴにいらっしゃるご夫婦だったんですけれど。で、本当に会うたびにその二人の笑顔を見たらね、なんかもう、本当、親戚のおじちゃん、おばちゃんに会ったような、本当、お母さんお父さんみたいになっちゃって。本当に嬉しくて、会うだけで心がこもるというか、最後にモナコで降りて、で、あの「モナコのホテル、どこ泊まっているの?」と言ったら、ホテルも一緒だったんですよ。なんか凄くないですか?
そのホテルも一緒だったので、「夕食をせっかくだから一緒にしましょう」ということで、そしたらね、あの、だんな様の誕生日だったから、そのお祝いをしましょうということで、うん、本当にそのあともね、とても深い大切な友達になったのですけど。
仲町(Mr.クルーズ):やっぱり普通の陸上のツアーだと、そういうことはまずないですよね。
WAKANA:ないですよね。あれ不思議ですよね。
仲町(Mr.クルーズ):不思議。
東山:なんか一体感というかね。
WAKANA:そうですね、一体感がすごい不思議。あれは誰もが感じられるものなんですかねえ。
東山:でもね、ゴメンなさい、最近の大型船は、部屋の廊下ですれ違っても、昔みたいにグッドモーニングとか言わなくなっている、気がするんですよ。最近は、数千人の船はね。なんか人間関係が希薄な気がしますね。
WAKANA:なるほどね。
東山:昔はもっと。やっぱ、船が大きくなりすぎたんだと思うんですよ。
WAKANA:そっか、なるほどね。
東山:うん。
WAKANA:たくさんのお客さんと、たくさんのエンターテイメントと、寄港地の中で、じゃあ、自分がどう過ごすのか、やっぱり、なお一層問われるということですね。
仲町(Mr.クルーズ):そうですね、毎日、船内新聞が配られてくるので、今日は何をしようというのをこう選んでいくんですけれど、あんまり選びすぎないほうがいいですよね。
WAKANA:なるほど。
仲町(Mr.クルーズ):自分の好きなものを絞ってやると、だいたいそういうところに集まってくる人っていうは同じような人たちが多いので、それで親しく話ができるし。
だから、「船に乗ったらなんでもやらなきゃ」っていうのは、ちょっと違うような気がするね。
WAKANA:それはたぶんね、難しいんでしょうね。
たとえば、旅行会社さんとかツアーとかで行く場合は、ちゃんとこう、予定どおり組み込まれていて、エクスカーションというツアーとか、街のツアーとかね、そういうのもちゃんと予約して、案内する人がいてという決まった中に入ることに、先ほど理津子さんがおっしゃったように、慣れていると思うんですよね、私たちって。
その中で、たとえばスモールシップだったら、何もないという中でね、どう過ごすかということで……、自分に向き合うという感じですよね。
東山:それは、大型船は物理的な問題で、港が街の中心から遠いんですよ。
WAKANA:なるほど、港が遠いんですね。
東山:船がどんどん大きくなっているので、たとえば、東京の晴海埠頭ってわかりますかね?どこにあるか。歩いて銀座まで行けない、もう全然、辺鄙な所なんですよ。
外国も同じなんですよね。全部、港が遠い。でも、スモールシップは街のハート部分に歩いて行ける。歩いて楽しめるところに極力つけるようになっているんですね
WAKANA:うーん。
東山:それだけでも、全然、楽しいんですよ。名勝旧跡に行かなくても。で、ショッピングとかヨーロッパだったらね。あの、トルコのどこだったかな、ちっちゃな街でレイバンを買ったんですよ。
WAKANA:えっ? はいはい、レイバン。サングラスですね。
東山:7ユーロ。
仲町(Mr.クルーズ):えっ、本物?(笑)
WAKANA:それ、レイバンなんですか?
東山:ありえないでしょ。ところが、そこの街にはその工場があるんですよ。
WAKANA:あーっ、本物っぽい。
東山:ということは、それって横流しなんじゃないのって。だから今でも僕はそれを本物だって信じているんですけれども。もう、わかんないですよね。でも、工場があったりするんですね。
だから、名勝旧跡には僕は行っていないんですけれど、十分楽しんでいますよね。
WAKANA:7ユーロのレイバンに出会って(会場:爆笑)
なるほどね~。
東山:船からビーチが見えたら、船からもう、海パン履いて、ちょっとフランスの海で泳いでみるとかね。
WAKANA:おー、いいですね。
東山:そんな感じですけれどもね。
それぞれでいい、船の中での過ごし方
WAKANA:船の中での過ごし方について、もうちょっと聞きたいなと思うんですけれど。
理津子さんはどんな過ごし方をされていたんですか? 寄港地とかに行かない場合。
理津子さん:まず、私は寄港地にはすべて行ったんですよ。(会場:笑)
ただ、行っていない父に「どんなふうにして過ごしているの?」と聞いたりすると、「いやあ、けっこう楽しいんだよ」と
WAKANA:へーっ。
理津子さん:楽しいというのは、父は父のペースでいろんなことができて、そうするとさっきみたいな、その父と同じような人がいるわけですね。そこでその時間がゆっくり流れていて。
寄港地でというところで、普通の旅行とまったく違うなと思うのは、観光旅行と偶然の旅行って全然違う。
たとえば、今日はサントリーニ島、「ああ、夢に見たサントリーニ島だ」とかって言うと、「あそこ回りたいね、ここ回りたいね」というのがあるんだけれども、まず、時間が決められるんですよね。「はい着きました、そして、何時までに帰ってきてください」。
それだけで、あとは全部自分で、すべてをプランニングして……、
この質問は、船で何をしていたのか?
WAKANA:いいですよ、流れのままに。
理津子さん:質問、間違っちゃった!
WAKANA:あ、流れのままに、どうぞ。
理津子さん:はい、です。
夕方に帰ってきて、まずはちょっと着替えてですね、Tシャツとジーンズみたいな感じで帰ってきますから、パッとシャワーを浴びて、少し外に出たりすると、小さなジャグジーがあるんですけれど、必ずその時間に入っている人とかもあるんですね。「毎日、こんなジャグジーに入っているんだ」と思う。プールで泳いでいる人もいましたし。
そして、なんかゆっくり、ほとんどが「今日はあれ楽しかったねえ、これ楽しかったねえ」という、今日あった出来事のフィードバックなんですね、家族と。そういうのも、うん、楽しい時間でですね。
なんかせわしないじゃないですか、観光旅行って。たとえばそこいくと、もっとなんか、あれもやろう、これもやろうみたいになって。
でも、ディナーまではそれしかないので、ゆっくり、娘たちなんかと語り合うみたいな、会話が。
WAKANA:いいですね。語り合う時間がすごくいっぱいありますよね。
理津子さん:すっごくあるんですよ。
WAKANA:シュチュエーションもね、言えてました? ちょっと私?
いっぱいあるんですよ。
その、夕日もすごいですよね。どの船から見ても夕日、海に落ちる夕日の素晴らしさですよね。
理津子さん:本当、あの、今わかめちゃんがおっしゃったとおり、すごいね、会話とか対話をする、それも同じテーマ。(会話を)するしかないの、そこ。
WAKANA:そうそう、ないからね、遊びに行けないから。
理津子さん:出られないから、船なので。だからいろんな話をしたり。
あと、私はすごくあの、好奇心が旺盛なので、みんながどういうふうにしているのかなあとか、そういうのを見させていただくのが、すごく楽しくて。
本当に会話の仕方、お食事のいただき方、注文の仕方、添い方、関わり方、なんていうものが、本当にみなさん千差万別で。なんかそういうのもすごく楽しかったですね。
WAKANA:確かに。豊かですね。
理津子さん:すごく!もう、いろんな国の人がいますから。またそこで、こういろんなカルチャーを垣間見る。
WAKANA:ねえ、素晴らしい!
理津子さん:そんな過ごし方かなあ~。で、夜は次の日に備えて。
最初、私たち、寝れるのかなあって言っていたのね。でも意外にぐっすり寝られて。
WAKANA:揺れがね。寝れるんですよ。揺れでぐっすり寝れますよね。
東山:もう、昔よりは揺れなくなりましたよ。船も。
理津子さん:あの微妙にあるんでよね、でもこれが。
WAKANA:そう!船酔いはね、ちょっとどうなんだろうと心配する、あのへんの方とか(会場の方を指す)もいらっしゃって。船が怖いとかね。そういう方もいらっしゃるんですけれど。
あんまり揺れないですよね。
東山:いろいろは、あの、船自体も進化していますけれど、その、カリブ海と地中海がなんでクルーズのメッカかというと、揺れない海だから。
実は日本の周りは、悪い海なんですよ。世界的に見ても。
仲町(Mr.クルーズ):だから日本人は、船というとすぐ船酔い。
WAKANA:揺れる、揺れるイメージ。黒い海になんか投げ出されるような(笑)、そうなんだ。
東山:揺れなかったでしょ。
理津子さん:揺れなかったです。で、夜っていうと、揺れじゃなくて、こう、ゆりかごに乗っているようなイメージ。
WAKANA:山手線でも私、酔うんですけれど、酔わなかったですもんね。大きい船も小さい船も。はい。
理津子さん:揺れなかったです。そういえば、はい。
(パート3 へ続く)
撮影:寺前陽司、上田修司、清川佑介