講演録『海外で自分らしく生き抜く秘訣』Part1
海外で起業したコンサルタント、数カ国を渡り歩く駐在員の妻、国際結婚したセラピストと、それぞれの立場で海外生活を生き抜く3人のスピーカー。まずは、想像を絶する体験談からスタートです!
2017年9月30日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション1A
▼登壇者情報
スピーカー/
ハートリー明子
Body Mind Organic代表
田中みずえ
Mother Universe
小園英昭
『コゾノ式良くなる人事組織研究所』主宰。和太鼓奏者。
質問家/
佐倉幸
幸せ体質オフィス運営
佐倉幸(以下、みゆき): よろしくお願いします、わたくし、質問家の佐倉幸です。自己紹介は簡単に、お名前と住んでらっしゃる国を。
ハートリー明子(以下、あこてぃん): はい、バンクーバーに在住しておりますハートリー明子です。
田中瑞恵(以下、みずえ): はい、田中みずえです。今、ホーチミン在住なんですが、ジャカルタ5年、バンコク6年半、シンガポール2年の後に、今、ホーチミンに住んでいます。よろしくお願いします。
小園英昭(以下、ぞのん): 小園です。私は、ケニアに1年半、いや1年弱いまして、そのあと、今上海に15年ぐらい住んでます。はい。よろしくお願いいたします(笑)。
メディアに載らない危険な裏話
みゆき:今日はね、ざっくばらんに、させていただこうと思ってます。
先ほど、ちょっと事前打ち合わせで「楽屋トークで行きましょう」ということで。
せっかくなのでね、こちらにいらしてくださった皆さんも、なんて言うんだろう? メディアに載らないような、裏話みたいなものを聞きたいんじゃないかな、と思いまして、私のほうでもいくつか質問を用意してきました。テーマに沿って3人でフリートークしていただこうと思っております。
最初の質問ですけども、「海外で、どんな想像を絶する出来事がありましたか?」です!
あこてぃん: うん!
ぞのん: さっきね、楽屋トークでもいっぱい盛り上がっちゃいましたけどね(笑)。
みずえ: だいぶ喋っちゃったんですけどね(笑)。
ぞのん: みんな、「えー、どれを出そうか?」というくらい、山ほどある感じなんですけど。
みゆき:私、実は、海外に行ったことがほとんどなくて、そういうなんていうんだろう。日本で生ぬるく暮らしている私のような人間に、平手打ちをくださいと。
佐倉 幸 ニックネーム・さくらちゃん
http://sakurasakusaku.com/
幸せ体質オフィス運営
「目の前の人を喜ばせるために何ができるだろう?」
このしつもんが私の人生を変えました。自分のことばかり考えていた時には見えなかった幸せのカケラが、目の前にたくさんちらばっていることに気づいたんです。あなたにとっての人生を変えてしまうしつもんを見つけにきてください。
あこてぃん: えーーー!
ぞのん: チャレンジャーですね。
みゆき: はい、ドSトークをお願いします。
あこてぃん: ドSといえば、小園さん!
ぞのん: ドSトークで? えーなんにしよう? どれがよかったですか?
あこてぃん: ち!ち!
ぞのん: あ、ち、芝居? えーっとですね、あの、海外行くと病気になるというのが一つの恐怖にあるんですけども、95年にアフリカのケニアにNGOの活動で行ってまして。その時に、あの、ちょっと最近も流行ったんですけど、エボラ出血熱。
ケニアの隣に、今コンゴという名前になってるんですけど、ザイールという国があって、そこでエボラがボーンと爆発した。
小園 英昭
http://koozoo-hr.com/『コゾノ式良くなる人事組織研究所』主宰。和太鼓奏者。
自らの数奇なサバイバル人生から、どんな「逆境」にあっても「今ココにある資源だけ」を駆使して「伝説級の成果」に導く独自のメソッドを開発。大阪出身。上海在住歴15年。日本と奥さんをこよなく愛する男。
ぞのん:えー、『justin of outbreak』という映画の舞台の話、まさしく隣でやっていて。その時、隣のケニアにいて、いろんなデマとか噂がブワーッと流れるという中にいたというのが一つですかね、はい。
みゆき: 何しに行ったんでしたっけ?
ぞのん: ケニアですか? ケニアはですね、えー、新卒で行きまして。
みゆき: うん!
あこてぃん: え、新卒?
ぞのん: 新卒で行ったんですよ。
みゆき: ケニア語は?
ぞのん: ケニア語!大阪弁はしゃべれましたね。大阪弁だけでしたね。
みゆき: ノーケニア語で?
ぞのん: ノーケニア語で(笑)。一応英語だったんですけど、語学の勉強は一切せず。でも、NGOの団体に所属して臨時駐在員という名前の不法労働者という形で、一人だけ送り込まれて。
三人: あはは(笑)。
ぞのん: いや、ほんとなんですけどね。一人だけ送り込まれて「さ!やってこい」みたいな。
現地に行くと日本の本部から週に1回ファックスが、当時、インターネットがないので、ファックスが送られてくるんですよ。そこのファックスには、あの、「◯◯ハイウェイのどこどこに、なになにっていうお役所があります。そこにタンチューさんというお役人さんがいるので、そこのお役人のところにあなたに渡した封筒の何番と何番を持って会いに行け」って指令が来る。リアル罰ゲームです。
会場:(笑)
ぞのん: そういうミッションをやって、で、ま、井戸を掘りに行く。顔だけ見られて、「君、絶対、肉体労働でしょ!」ってよう言われるんですけど、下準備交渉という役割をやってまして。そういうことやってました。
みゆき: なるほど。
ぞのん: はい。まー、でもビザは観光ビザなので不法労働者です。
あこてぃん: 言っちゃっていいの?(笑)
ぞのん: 言っちゃいました(笑)。知らんがな!(笑)
三人: あはは(笑)。
みゆき: なんか、その時にね、小園さんが言ってたんですけど、言っちゃっていいのかな?
あこてぃん:言っちゃって、言っちゃって。
みゆき: 僕は、人を殺したんだって。
ぞのん: その話! もういきます?
みゆき: いっていいかな??それがかなり。
ぞのん: あーーーーーーー、想像を絶する出来事っていうと、その話いきましょうか。
あの、えっとですね、当時、今、お話したように新卒なんですよ。社会経験がまったくない中で、下準備交渉というので行って。
要は何をしたかというと、いちばん簡単にできるNGOの活動プロジェクトというのが、「土木工事で穴を掘って、掘った土で周りに土手を作って、雨が降ったら、雨水を貯めます」という簡単なダムを作るというのがあるんですね。それがいちばん安くできる。
で、それの建設の依頼をケニア政府から貰えば、日本側のNGO本部に補助金がおりて、それをそのNGOの活動資金にするという流れなんですね。
その話が滞っていたので、所属してた団体としては死活問題になる。「それをなんとかしてこい」っていうのがミッションやったんですよ。
行くときに、そのミッションで幾つかの資料を揃えないといけなくて、その中に「前に作ったダムに視察に行け」ってのがあったんですね。その視察に行きます。ま、元々大阪弁しかできないのにマサイ族の村に行きまして。とりあえず、英語ができるケニア人と、ナイロビ大学に留学していた日本人っていう変な奴だったんですけど、そいつを捕まえて行ったんですね。
そしたら、村に着くなり、その村人たちが激怒りして私に、ガーって言うてくるんですよ。
「なんてことしてくれるねん!お前らは!お前らがこんなもん作ったから、うちの家族、子どもたちが赤痢で死んでしまった!病気で死んでしまった!」とか。今までマラリアの蚊が、水辺がないのでいなかったのに、マラリアが発生して死んでしまったと。
「なんてことしてくれるんねん!」ってぐわーって、怒られるんですよ。めっちゃ理不尽じゃないですか。
援助をすれば人が死ぬ。現実を前にした究極の判断は?
ぞのん:で、それで現実を知った。「あ、こういうプロジェクトって、こんな良くないことあるんだな」と思って、私の正義感から「このプロジェクト止めなきゃいけない、こんなことやっちゃいけない」と思って、止めようかなと思ってその次の新しいプロジェクトの候補地に行ったんですね。「視察に行け」って言われて。
で、そこに行ったら、そこの村民たちがですね、がーっと大歓迎してくれるわけですよ。
で、「いやいや、ちょっと待て。作ったらどうなるのかわかるのか? 実際に子どもたちが死んだりすんねんぞ! マラリアなったりすんねんぞ」って、「これ、いっぱい起こってんねんぞーー!」って、あきらめさせようと思って言ってたら、彼らが衝撃の一言を返してきたんですよ。
その衝撃の一言を聞いて、「あ、これダメだ、俺が間違ってた」っていうのを思い知らされたという事件があったんですね。
なんて言われたと思いますか?
彼ら「ふーーーん」って言った。
会場: (爆笑)
あこてぃん: え?
ぞのん: 要はですね。「そんなもん、起こってから考えるわ!」と。
三人: あーーーーーーーーーーーー。
ぞのん: それ、衝撃的な一言でして。あの、何て言うんですかね。
要は、彼らからしてみれば、そのダムができなくても、現在でも片道4時間、往復8時間かけて近くの川に水汲みに行ってるんですよ。で、年間数十人がワニに襲われて死んでいるらしいんですね。そんなことは全然知らなかったんですけど、そんなんがあると。
「もしここに水を作ってくれたら、往復8時間の重労働、女、子どもに任せている重労働から解放される」と。「そこだけで十分なのに、作った後のこと考えられるか!」と。
会場: (苦笑)
ぞのん: 「そんなもん、できてから考える」って。
みゆき: 確かに。
会場: (苦笑)
ぞのん: これはすごい。その点をまったく見れてなくって。「あ!ほんまや」と。
それを考えた時に思ったのは、「ここに作らない」と正義感で決断しようと思ってたんですけど、そうする理由って実は、私自身が怖いからやと。ここで作って、事件が起こってしまったら、私が傷つくじゃないすか。だから「作らない」というカッコいいことを言ってるだけの話であって、「なんやこれは」と。その村人たちから言われた「起こってから考える」という言葉でそれを思い知らされまして。「これはアカンな」と。
とはいえ、もしこれでGOかけたら、確実に死んじゃうんですよ。
これ、すんごい大きな決断やったんですけど、当時、23歳。もうめっちゃ迷ったんですけど、「GO」やと。「背負おう」と。
GOを出したというのは、ホントの話です。はい。
みゆき: なるほど。村人たちを思って。
ぞのん: いや別に。
みゆき: 思ってない?(苦笑)
ぞのん: 作るのが仕事でしたしね。彼らが求めましたもんね。
みゆき: なるほど。
ぞのん: 随分批判されましたけどね。ジャーナリスト志向の日本人とかいてですね、めっちゃめちゃ批判されましたけど。
みゆき: 何が正義なのかわからなくなりますね。
ぞのん: わからないですね、はい。それが2回目の海外旅行で味わった洗礼でした(笑)。 しかも観光ビザ!
日常の中にテロ。危険な情報は自分で手に入れる!
みゆき: ありがとうございます。瑞恵さんはいかがですか?
みずえ: はい。えーっと、想像を絶する体験??
みゆき: 何カ国ってね? 想像を絶する体験。
田中 みずえ
https://happy-family-therapy-sun.amebaownd.com/
Mother Universe
自分らしく幸せな人生を生きる 「Astro- Philosophy」宇宙の哲学を「勇気づけの占星学」「自分を愛する心理学」「豊かな人生の宇宙真理」から伝える。
自分を愛し、他者と深い絆を築いて、家庭や社会で、自分らしく輝く、相思相愛の幸せな人生を送るよう「Re Born」再誕生する、気づきと癒しの方法をお伝えします。
児童教育学科卒 発達心理学専攻 日系銀行に8年勤務後、結婚 海外生活通算17年目、海外子育て歴 14年目
夫、一男一女の子供たち、ワンコ一匹と、現在は4カ国目となるベトナム・ホーチミンに在住
みずえ: 特にいちばん大変だったのが、2000年に(ジャカルタに)行ってるんですね。
その2年前くらいに暴動が起きていて、命からがら逃げて、日本に帰った時期の後だったので、私がまだいた時は、大使館から「米とお金と水を用意して家にこもれ」とか「外出禁止」とか言われて、まだ外を歩けなかったんですよね。
今もね、まだ私、指輪をつけてないんですけど、指輪をつけて外を歩いていると、指を切り落とされるような時だった。そんなところでね、子どもはまだ赤ちゃんだったので。
政情不安だと医療が悪いところなので、子どもと家族をどうやって守っていくかというので、結構必死というか、そんな感じでした。
みゆき: なんかお財布を忘れたから
みずえ: そうなんですよ。
実は私は運がいい女だと思うんですけどね。爆弾テロが9.11の後、結構、毎年、9月にあったんですよね。「あ、9月きたね」「また、どっかでテロあるね」みたいな感じだったんですけど、私、たまたまその日、お使いものでチョコレートを買いに行こうと思って、ホテルに向かっていたんですよね。
そしたらお財布が入ってなかったから、「チョコレート買えないや」と思って引き返してきたら、そこで爆弾テロがあって、亡くなった人が出たりとか。
あと、2年後かな? なんかお友達の家で子どもで集団で遊ぶという日に、そこに向かっていく途中で「今日中止になったから」って引き返してきたら、その行く道で、爆弾テロが起きたとかが(あった)。
どこが危ないとかじゃなくて、日常の、いきなりどっかで爆発した、みたいなのがあったので、それはすごく怖かったですよね~。
みゆき:そうですね~、毎日、毎日。
みずえ: そうですね。
だから、テロ情報じゃないですけども、その裏情報を掴むのに、結構必死。
みゆき: どうやって掴んでたんですか?
みずえ: やっぱり、本当にお友達が大事なんですけども。
ぞのん: 現地の人から情報を入れるっていうのは大切ですよね。
みずえ: そうですね。そうです、本当に。だからそういうことも全部含めて、危険な情報は自分で手に入れる。人から発信されるものを待っていたら、間に合わない。
公の機関は対国になっちゃうと出せないって、すごくわかるんですよね。だから、自分で何か責任を持って生きるみたいな。そんなところは、すごくあったなって感じますね。
あこてぃん: ありますね。
みゆき: すごいですね。
あこてぃん: みなさん、何か、すごい壮絶な経験されてるんですけど、わたすぅ~、先進国なんですよ。
会場:( 爆笑)
あこてぃん: 生ぬるい感じで、ないっちゃ、ないんですよ。
みゆき: 安全ですか?
あこてぃん: 安全ですよ、バンクーバー!先進国ですから。
ハートリー 明子 ニックネーム・あこてぃん
http://bodymindorganic.com/2006年9月、 語学留学のため、単身カナダへ渡り、翌年、バンクーバーのバス停で、今の主人と運命的な出逢いの末、電撃国際結婚。その後、バンクーバー日本国総領事館に約7年勤務。現在は、日本とカナダ両サイドの社会経験を生かし、世界中をごきげんな女子たちで埋め尽くすことをミッションとし、「グローバルな愛され女子育成プロジェクト」をスタートさせる。女性にとって、一生を左右する最愛のパートナーとの出会いを引き寄せる方法論はもちろん、行動心理学とコーチング理論をベースに、一人一人の「QOL Quality of Life」を高めていくライフスタイルを提案。
欲張りな大人女子限定のオンラインスクール「E-LOVE Learning」を展開中。
その他、著名人のバンクーバー講演会主催や、グローバルに活躍したい方々を応援するための出逢いの場を提供する活動 にも力を入れている。
あこてぃん:でも、領事館には勤めていたので、裏話はお得だなってわかるんですけど、いつもテロ的なものもあったし、なんか鯨食べるな暴動とかいろいろ、目の前で起こったりするんですけど、「日本人は隠れて地下道から出て行きましょう」とか、それくらいですよね。
で、私の個人的な、想像を絶する辛かったことっていうのは、あの、熊本出身なんですけど、熊本震災が起こった時に、母が一人なんですね、熊本で。
でも、その時に、ちょうど私は帰国してたんです、ちょうど。なので、それが想像を絶するというのはなぜかと言うと、バンクーバーにもし私が一人でいたら、もう死んでただろうなって。心配すぎて。
みゆき: あーーーー。
あこてぃん: やっぱ、海外に住むと、親とか大事な家族とかの死に目に会えないっていうことが覚悟の上でいます。いません?
ぞのん: そうです。ま、近いですからね、私、上海は。
あこてぃん: そうだ!1時間半くらいでしたっけ?
ぞのん:2〜3時間くらいですかね。
でも、日本にいる親からすれば、香港とか北京でSARSとかがあった時も「あんた大丈夫?」って。いや、上海からめっちゃ遠いしって。そういうのは日本側にもあると思うんですけどね。
みゆき: うーん。
みずえ: ありますね。でも、私も長く生きてきて、かなり、いい年になってくると、毎回日本に帰るたびに、「これがもしかしたら最後かもしれない」っていう切なさはありますよね。自分の親との。
毎年帰るたびに、ちっちゃくなっていくじゃないですか。どんどん知らない間に老けていってるんで。
あこてぃん: それはありますね。
みゆき: そうなんですね。お父さんとお母さんと離れて暮らしているわけですけれども。
(パート2 へ続く)
撮影:寺前陽司、上田修司、清川佑介