講演録『体の声にすべてのヒントがある』Part2
自己治癒力を引き出すためにも大事な「体の声を聞く」ということ。スピーカー3人に共通していたのは、体に触れて、体からのサインに耳を傾けることでした。
2017年10月1日開催
しつもんカンファレンスin OKINAWA セッション4B
▼登壇者情報
スピーカー/
佐々木綾
AYAウィメンズクリニック
ホリスティック医(産婦人科医)
熊倉達之
一般社団法人リラクセンスボディーセラピー 代表
藤田友佳子
一般社団法人日本ボディリズムマネジメント協会 代表理事
株式会社 Tree of Heart 代表取締役
キャリアコンサルタント(厚生省国家資格)
質問家/
みちの えみこ
笑顔ライフ★プロデューサー
姿勢科学の専門家
呼吸が浅いと、体の声が聞こえなくなる
みちの :そうですね、皆様に聞いてみたいんですけども、体の声というのがテーマなので、それを聞くために必要なことは何だろう?というのをアドバイスいただけたらと思うんですけども。じゃ、ちょこちゃんから、体の声を聞くために必要なことは何ですか?
ちょこちゃん :はい、そうですね。
私が今やっている体の声って、自分の手を使って自分の体を触ってあげることだと思っています。
で、そこに、呼吸を合わせているんですけども、自分が体の声が聞こえなくなっている時っていうのは、すごく呼吸も浅くなってしまっています。たとえば、自分の体の痛いところが冷たくなっていたりとか、本当に敏感で。
体は表しているけども、自分でそれを感じていないことがあるので、呼吸をするときに、私は、左手をお腹の上に置いて右手を胸の上に置いています。ちゃんと腹式呼吸をできてる時というのは、しっかりと吐くときにお腹がへっこんで、吸うときにはお腹が膨らむんですけども、手を置いていないと、どうなっているかわからないんです。
ちょこちゃん :手をかかとに当てて、自分の体の声を聞きながら、これがいい、重心のかけ方とかも自分に合ってるという時は、反応が大丈夫なんですね。反対にかけてしまうとゆらゆらってしてしまったりとか。体がどんな声を出しているのかな?というのを改めて聞いてみるということをしています。
ぜひ呼吸をするときに左手をお腹の上に置いて、右手を胸に置いて、で、呼吸を、はい、やってみてください。
みちの :座ったり立ったりした状態でもできるんですか?
ちょこちゃん :そうですね。できる限り、他に意識を向けない方がいいので、いちばんオススメは、夜、布団の上で寝ているときですね。寝ているときに、それをするとすごくわかりやすいと思います。
みちの :実はそれ、私も同じことをお客さまに教えてたりします。
ちょこちゃん :そうなんだ。じゃ、同じですね~。
みちの :今できることってありますか? この場で、みなさん。
ちょこちゃん :今この場でできることですか?はい。
みちの :普段やられいてることでもいいです。
ちょこちゃん :わかりました。普段は音楽がついているんですが、ちょっと今音楽を用意していないんで、今から5秒カウントするときに、息を吐きながら口を細くして、ストローで口を息を吐くようにお腹凹ませながら、息を吐いてください。
そのあと、息を吸うときにお腹を膨らませながら、じゃ、お客さんがいるのでみんなの前で。
お客さん :カウントですか?
ちょこちゃん :そうですね、息を吸うときに、肩を上げて息を吸うというのをちょっと練習しますね。
最初に5で息吐いて、息を吸う。息を吸うときに、あまり肩に、胸に息を入れないように、そのために、右手を置いて胸にあまり動いていないか、ちゃんと空気入っているかどうかを意識してやってみてください。
ちょこちゃん :では、いきます。吐くところからいきますね。吐きます。
せーの、1、2、3、4、吐ききって、で、息吸います。1、2、お腹膨らませて、もう1回吐きます。1、2、3、4、5。吐ききって、息吸います。お腹膨らませながら吸う。最後行きます。お腹凹ませながら息を吐きます。1、2、3、4、5、息吸います。はい、ありがとうございます。
この時にですね、日中行うときは、呼吸に意識を向けすぎると目をつぶってしまうんですね。目をつぶるとリラックスできるんですが、日中これをすると眠くなりやすいので、目をしっかり開けて吸うと、実は、セロトニンが活性化するんです。
体はリラックスできてるけども、脳はすっきり集中力が高まるという効果があるので、日中仕事中にするときは、目をしっかり開けて、こういう綺麗な海を見ながらですとか、そういう呼吸法をやってみてください。これはできたら音楽があった方が、より一定のリズムで3分とか続けやすいですし、音楽のリラックス効果もありますので、これを音楽を使いながらやってみてください。
みちの :ありがとうございます。横から見た方がわかりやすいなと思ったので、ちょっと見本を見させてください。
ちょこちゃん :では、息を吐く時にですね、お腹をぐっとへこませていきます。腹筋に力を入れて、おへそのあたりに力を入れますね。
1、2、3、4、全部息を吐き切るイメージで吐ききって、次、息を吸うときは、ふっとお腹の力を緩めるとお腹が膨らんでくると思います。1、2、3、4、5、で空気を吸う時にお腹を、そんな感じです。はい。
みちの :ありがとうございます。
ご覧になりました?お腹の動きが違いますね。これ、ダイエット効果があるんじゃないんですか?
ちょこちゃん :そうですね、すごくダイエット効果があると思います。私はほとんど運動ができない状態ですけども、呼吸法をしているだけで体重は変わらないですし、瞑想も「すごいね」って言われるので、それはきっと呼吸法の効果なのかなって思っております
みちの :ありがとうございます。これが先ほどの、あの本の内容ですか。
ちょこちゃん :そうなんです。今は基本は呼吸ですが、これにストレッチを組み合わせて肩甲骨を動かして肩こりや頭痛を軽くさせるものとか、いちばんオススメは、目を動かしながら行う呼吸法っていうのがあるんですが、目を動かすだけでセロトニンを活性化するんですね
あと女性の方ですと目のクマの防止とか、あと脳の疲れも実は目から来ていると言われてるので、終わった後にすごく視界がすっきりしたとか目が楽になったという効果もあります。この本の中に10種類の呼吸法が入っております。
みちの :ありがとうございます。私もちょっと、後で読ませていただきます(笑)
ちょこちゃん :ぜひぜひ。
体の声を聞くには、思考にお休みしてもらう
みちの :ゆるゆる、体の声を聞くために必要なことは何ですか?
ゆるゆる :そうですね、えーっと、思考にお休みをしておいてもらうっていうことですかね。
みちの :感じるということですかね?
ゆるゆる :そうですね。ただね、その“感じる”じゃないってところが、結構大事かなって。
あえてその表現をしたんですけど、「感じよう」って思うだけで、たぶんもう感じにくくなっています。感じてない前提があるから「感じよう」と思うわけですよね。
だから、感じようというよりも、自然と思考が置いておけるようになっていると、感じやすくなるかなって、あえてその言い方をしたんですけど。
やっぱり、結構感じてるつもりって多いですね。感じることですら思考でやってるとか、その、どうしても僕はそうなるので、よりそうなのかなって思うんですけど。だからこそ、感じることってすごく大切だなと思っていて、そのきっかけというか、コツの一つで触れるっていうのは、すごくきっかけになるかなって思うんですよね。
特に僕なんか普段は、どちらかというとセルフケアよりも、こう相手のケアをしていくということをお伝えをしていて、そうすると、なかなか自分一人で“感じる”とか“気づく”とかって、難しかったりするんですけど、誰か自分以外の人がいてくれることで気づけることって、たとえばこれは体以外のことでもたぶんあると思うんですよね。
今回のカンファレンスでも、やっぱり、自分が持っている発想じゃないものを持ってる人と触れ合うから、それがたくさんこの場にはあるのかなと思って、(セションを)聞いてるんですけども、そこから、誰か、自分以外の誰かがいてくれる、そして、その人が触れてくれるというそのきっかけがすごく大事だったりして。
僕なんかがやっているのは、「体の声を聞いていきましょう」と言っても、声を聞いていくって、たとえじゃないですか。ね。喋ってくれるわけじゃないですよね。
声にして聞こえてくる人もいるかもしれないですけども、僕は、あんまりそういうことがないので、何をしていくかというと、体の反応を見ていくとかね。体の状態の反応を見ていくということをやっていくんですけども。体は面白いもので、自分に心地よいものは受け入れてくれるし、心地よくないものは抵抗するわけですよ。
たとえばですけど…、どうしようかな、ちょっと、腕をお借りして良いですか?
あや :はい。
ゆるゆる :ちょっとこっちの腕をいいですか、そのままいてもらって、たとえばなんですけど、僕がギュッとした瞬間に肩の周りに力が入っちゃうんですよね。
僕がギュッとしてようがリラックスしてればいい話なんですけども、それだけぐっと力入っちゃうじゃないですか。動かしていきましょうっていう時に、今は、ま、無理のない方法だから自然と動けるんですよね。
でも、ここで1回ちょっと引っかかって、じゃ、動かないから、コリがあるからほぐしてあげようとかと思うと、普通だったら「もっと伸びた方がいいよ」ってこうやってやると、緊張しますよね。行きたくないって言ってるのに、行かせようとするからですよね。「あー、行きたくないんだな」って思えばいいわけで、じゃ、どうしたらいいのかなって、逆にこっちだったら行きやすいよね~とか、こっちだったら行きやすいよね~とかって、体ってすっごい正直に教えてくれるんですよ。
今、見ていただいていて、不自然なのがわかります? 僕の手、上にありますよね。
ゆるゆる: 物理的に言ったら違うんですよ。下ろしておけばいいですよね。あげたくなくても、たぶん、今、こうやって動いていくのが無理がないから、人が見てると、もしくは受けてる方としては、「なんか、動かしてくれてるんだな」って任せることがたぶんできるんだと思うんですけど、何に任せてるかというと、これ、僕に任せてるのではなくて、自分の無意識の体の状態に任せてるという状態なんですね。
任せるというのが難しい。どんな感覚?
あや :肩甲骨と背中がほぐれてます。
ゆるゆる :ですよね。こうやって動く時って、自然とつながり、さっき言った”つながり”を持って動ける状態になっていってる。
あや :手の動きとか、本当、赤ちゃんの羊水の間で浮いてる時とまったく一緒。
みちの :えー、面白い。
あや :気持ちいい。はい。
ゆるゆる :それこそ僕としては何か意図してやっているわけではなくて、「どうしたいかな?」って、そこだけなんですよ。本当に、体にちゃんと質問できると、体って今みたいにちゃんと答えてくれる。
でも、理屈だけ聞いてても怪しいじゃないですか。見ていても怪しいかもしれない。さっき打ち合わせしたんじゃないかなって。してない、してない。まったく今初めて。僕、どんなことをやってるか、ほとんどお伝えしていないので、なんか急にこうやってもらっても、体って、ちゃんと自分にとってよければ受け入れてくれるし、自分から「もっとこうしたいんですよね」ってどんどん開けてくれるんですよ。
聞く耳を持っているとちゃんと答えてくれて、聞く耳を持っていないと答えてくれないっていうのがありますよね。
みちの :聞く耳を持つ?
ゆるゆる :そこが大事ですね。
みちの :そうですね。ありがとうございます。
ゆるゆる :面白いですね。
みちの :なんか、古武道とかの動きとかみたいなね、そういうデモンストレーションみたいなのができると、はい。
ゆるゆる :結果そうなるだけ。意図を持たないってということが僕は大事かなーと。
さっき言った、体を信頼しているというか、「もともと体っていちばん良い状態になろうとしてるよね」という前提を持ってくれてるか、なんか「やってあげなきゃいけないんだ」って思うか。
セルフケア、自分のケアでもそうですね。「ここを緩めるために、こうしてあげなきゃいけない」とか、こう、「なんかやろう、なんかやろう」って頭で考えているから、逆に「体がどうしたいだろうか? どうしたいんだろうか?」というのをつい無視しちゃう。
でも、動きたいように動けばいいだけなんですよね。だけども、動きたいんだけど「動きたい」がわからない。それに気づいていく機会というのは、すごく大事だと思いますね。
みちの :思考をちょっと休ませるとか。
ゆるゆる :そうそうそうそう。
内蔵とリンクする感情を受け入れる
みちの :はい、ありがとうございます。
あやさん、体の声を聞くために大切なこと、お願いします。
あや :うーん。
さっき、「現代人は思考中毒だ」と言われていて、でもそれって、やめようと思ってもやめられないと思うんですけど、思考とか考えるとか不安って、胃とすごいリンクしてるんですよね。
私も今回は初めての経験なので、朝起きた時にちょっと胃にきてるなとか、そういうものとかも全部。実は、不安とか思い悩むとか、いつもだったら流せるのに同じことを考えてしまう場合は胃で、あとは、今回、女性が多いのでちょっと子宮の話になっちゃうんですけど、子宮とか腎臓があるところって、恐怖と関連があるんですね。
腎臓って体の後ろ側のお尻の上の方にあるんですけど、子どもの頃に、恐怖体験とかお化け屋敷とかが怖くて、おもらしする子のイメージ。あれって、恐怖の感情が体の中に充満しちゃうと心臓が止まってショック死するといけないので、恐怖という感情エネルギーをおしっことして出すということをしてくれているんですね。
吸引分娩の場合も、赤ちゃん、急にカップつけられて引っ張られて、恐怖を感じるので、産道を出たらおしっこを自分で早めに出せるとか、そういう意味が体の中の内臓にあるということなんですけども。
なかなか体の中って、見える人もいると思うんですけども、見えない人もほとんどだと思うので。でも、たとえば、その腎臓が元気になってくると、恐怖がだんだんだんだん質を変えていって、好奇心になるんですよ。だから、後ろから押されるような感じになったりとか。
あとは、先ほど、目のことを言われていて、目を動かすと、リラックスする。目というのは、肝臓とすごくリンクしてるんですよね、筋肉とかもそうなんですけど。目を酷使しすぎると肝臓が疲れているのか、肝臓が疲れているから目が疲れているのか、どちらが原因かわからないくらい関係しているんです。
自律神経と関係してるところも肝臓なので、実践されていることを今、聞いていて、そういうふうにしていると、「こうですか?」とか言わなくても、緩めてもらうだけで自然にこう自分の感情を受け入れることにつながっていくんだなって。あんまり断定して言わないようにというのは、私もついやっちゃいがちなんですけど、心掛けようと。
あと、女の人、男性もそうかもしれないですけど、甘いものを無性に食べたくなるときは胃を使い過ぎていないかとか、あとは考え事しすぎてないかとか、あとは、人にすごい気遣いを無意識にしちゃう方というのは、発散で甘いものを食べちゃうということがあります。
なんかいつもと違うところとか、止めたいのに止められないことがある時というのは、ちゃんとそれで体のことが聞けているということで、今やっていることを否定しないことが始まりかなって思ってます、はい。
みちの :ありがとうございます。すごく、興味深い(笑)。すごい、聴き入っちゃったんですけど。
今ね、話を聞いて、日本人って、結構、胃が弱い人が多いじゃないですか。考えすぎだったりとか、気を遣いすぎとかがやっぱり多いのかなって思ったんですね。
こうやって「人の体とはこういうものなんだ」ということを知る機会が、学校教育でもあまりないな、と私自身が勉強しはじめてから思っていて。
私は実は、高校大学では語学とか文学とか完全文系の分野ばかり選んできて、むしろ(体のことには)まったく興味なかったんですけれど、大人になってから興味を持って知ってみると「人の体って、こんなに面白かったんだ!」とすごくわかってきて。「なんで体のことを知ることが必要なのか(理由を)学校で教えてくれてたら、もっとやってたかもしれないな」って、人のせいにするみたいな表現になっちゃうんですけど、今になってからすごく思ったんです。
そういう「知る」ということも大事じゃないですかね。
ちょこちゃん :そうですね。
撮影:寺前陽司、上田修司、清川佑介