「みんな一緒に」になりがちな日本。 良さを活かしつつ、変わっていくには?

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講演録『世界の教育』Part2

 

世界から見ても日本は「みんな一緒に」の傾向が強い。そんな指摘から見えてきた日本の教育の課題と強みを、どうしていくのか? セッションはさらに深まっていきました。

2017年9月30日開催
しつもんカンファレンス in OKINAWA セッション2B


▼登壇者情報

スピーカー/
いぬかい良成
教育活動家

高橋香織
しつもん財団事務局

山脇恭子
社会福祉士。上海ネットラジオとpodcastにて、子育て相談「ままサプリ」を展開中。

質問家/
塩沢 節子
横浜市に小規模保育園の代表


「みんな一緒」の弊害と希望

せっちゃん : よく日本では、「みんな一緒に」とか「迷惑でしょ」という言葉が、幼児教育や小学校で言われますよね。「みんなが何やってるのか、見てごらんなさい」的な。やっぱり、一緒くたにしようとするものがあると思うんですね。

そこは、(中国では)ない感じですかね?

きょうちゃん : 中国では、「みんな一緒に」はないですね。日本に来られてる中国の方を見ていただくとわかると思いますけど、とにかくもう個性的ですね。

せっちゃん : どうですかね、かおりん。

かおりん : 今ね、「みんな一緒」で、思い出したことがありました。

バリに住んでいるお友だちとの会話で、バリに住んでいる日本人の方で夏休みになると日本に帰ってきて、たとえば実家があったりしたらその地元の学校に何日間か通うってのがあるでしょ? その話をしていたときに、日本の学校に入ると、やっぱり目立つというか個性を発揮する子たちらしく、全員じゃないんだけど、日本の学校で過ごすときにいじめられちゃうんだよね、みたいな話があって。

やっぱ日本はみんな一緒がよかったり、ちょっとこう変わった子が来ると…とかね、原因はそれだけじゃないと思うんだけど、その話を聞いたときに「そういうことが起きているんだなー」と、少し考えることができるなと感じるものがあったんです。「みんな一緒に」っていう感覚がそこにはあるのかなって思ったんです。

なんか思うことあればどうぞ。

チャーリー : 「みんな一緒」というキーワードの中で思ったんですけども、僕は、なんだろな、戦後ずっとナンバーワンというのが目的で、トップの人がいて、それを下におろすという教育がずっとあると思うんですね、社会に。

そのあとに、SMAPでおなじみのオンリーワンがあったと思うんですね。そのあとに21世紀大変革期と言われていますけれども、そこの中で、僕はこれからオールワンという意味での「みんな一緒」という時代が来ると思うんですね。というか、もう来てると思うんですね。たとえばこの「しつもん」のね、こう言ったコミュニティは、オールワンじゃないですか。「みんな一緒だよね」って考え方。

今まで話していた「一緒だよね」っていうのは、何の目的意識もない人たちが「みんな一緒」で、そこでフラットな社会というのは、僕はいい社会だとは思わないんですね。

一人ひとりが個性を持って、それでみんな一緒で、それがひとつのなんだろな、渦として、ひとつの変革を起こすという、グッとシフトするという、そのパワーを持った「みんな一緒」だったら、ものすごく素晴らしい社会というかコミュニティだと思うんですね。

ですので、ここの場所(しつもんカンファレンス)というのは、どんどんどんどん大きな渦になってくるはずだと思うんですけれども、皆さんが、個性を殺してまで「みんな一緒」というのは、みんな一緒でもなんでもなく、戦後の教育と同じですよね。自分を押しつぶして、平たく薄っぺらいクレープ生地のような人間を作っていただけのことであって、これから教育もどんどん変わっていくと思いますけれども。

 

講演録『世界の教育』しつもんカンファレンス

ニュージーランドの「ラーニングストーリー」

チャーリー :実は昨日、運動会だったんですね。それで、先週の土日は『マインドフルネスと教育』というテーマで、埼玉の森の中でリトリートをやっていたんですけど、そこでニュージーランドの教育省の教育要領を作ったウェンディー・リー先生を呼んで、マインドフルネスとスピリチュアル界の山川ご夫妻に来ていただいて、対談みたいな感じでやったんです。

そこで、「日本を含めアジア全般がオールドスタイルね」って言ってましたね。教育のことを、バッサリ。「あなたたちのやってることはオールドスタイルね」って、「いつまでこれをやってるんですか?」って、めっちゃ言ってました。

ニュージーランドという国は今観光が盛んなんですね。なぜ観光が盛んになったかというと、教育が変わったからなんですね、大きく。これは9年前に教育要領を大きく変えたんですね、ウェンディー・リー先生が。

「ラーニングストーリー」という分野があって、それは何を行ったかというと、一人ひとりの子どもたちをちゃんと見て、それを記録につけていく。今の保育士、幼稚園教諭というのは、一人ひとりではなく全体のものをつけていって、たとえば保育士さん、毎日、記録を書きますよね。「今日は元気だった」「今日はナニナニしました」「今日はすごい嬉しそうでした」、それだけですよね。それは完全に自分の主観なんですよね。

彼らが書くものは、絵に取りながら、写真を撮りながら……、

そもそも、海外って、今思ったんですけど、人数が全然違うんですよ。日本は35対1じゃないですか、35人学級じゃないですか。向こうは最高でも24対2なんですよ。1人の先生は12名しかもたないんですよ、だからそれができるんですよ。

なおかつ、その一人の先生は、週に20時間しか子どもを持たないんですよ。他の時間はそのドキュメンテーションというか、ポートレートというか記録をつけていくんです。写真つきでファイルに綴じていくんですよ。

そうすると子どもが1年前に行ったこと、1年後に「僕はこんなことしてたんだねー」って自分で確認事項をとれるんですね。親もそれを見ながら「うちの子そんなことをしてたんだねー」、先生も「随分成長した、次は何ができるのかなー」ってプロジェクトを組めるわけですね。

「チャーリー、あなたはどこに向かうの?」ってめっちゃ言われましたけれども。昨日運動会に来て、「これはこれで、オールドスタイルだけど、すごいね」って。やっぱりビシッと揃えるのは得意じゃないですか、日本の場合。

まだまだ僕はできてないけど、食事の時間を削って、幼稚園に張り出しているドキュメンテーション、「こんなことやってるんですよ」という、さっき言った記録ですね。そんなものを見せながら、いろんな教育を探求し研究しているので、こんなことも始めました。これは素晴らしーと言って。

日本のいいところ、中国じゃないですけど、その国のいい教育って当然あるので、それと海外のいい部分というのをきちんと融合させるのがジャパニーズスタイルなのかなって、僕は思ってるんですけど。

ただ、さっきの記録の部分はですねー、もうすこし人数を減らしてもらって、その上でやって、そうすると、その記録を取るだけで三位一体になれるじゃないですか。これはすごい、ものすごい一歩なんじゃないかな、と。もしできたらと思っております。

せっちゃん : 今ちょっと話にも出たんですけど、新しくなるっていう教育要領。日本も変わっていくんだということも、私も聞いているんですけど、具体的に、なんかこんなふうになるらしいというところを、教えていただけたら嬉しいです。

チャーリー : え、そこ??

会場 : 笑。

チャーリー : 教育要領が来年4月から変わることはご存知ですか?

わかりやすく言うと、 自分で学んで、自分で成長していくというか、まぁ、アクティブラーニングってありますよね、それをもうすこし授与して、ということなんですよね。

その次にあるのは、日本の教育をどんどん国際化していこう、ということなんですね。来年からは小学校3年からかな? 教科としてではないんですけど、英語体系みたいな感じで、5年生からは英語科になるんですね、科目になるんです。その3年後には今度、小学校3年生から英語の授業という形になるんですね。

そうやって時代は変わっているんですけども、たぶん先生のマインドが変わらない限り、何を外側で変えようとしてもおそらく無駄だと思うんですね。無駄とは言いたくないんですけども……。

きょうちゃん・かおりん : 言っちゃった…

チャーリー : この中にも先生とかいろんな方がいると思うんですけど、なので、がんばってくださいね。

 

日本の教育の良さとは?

せっちゃん : その日本らしさみたいなね、日本の教育みたいなことは、海外に行くとまた感じることも多いと思う。きょうちゃんなんかは、そこらへんの日本の良さについてはどうですか?

きょうちゃん : はい、日本が何とかっていう言い方になっちゃってた気がしてたんですけど、日本の良さってもちろんあって、海外の方がよく言うのが、海外には体育がないんですよ、体育と家庭科、技術がないんですね。

で、「それが素晴らしい」って日本の学校に通わせている海外の方がおっしゃったりします。私は普通のことだったのでわからなかったんですけど、体育の授業を通して、私たち本当にバレーボールでもバスケットボールでも全部習って、マルチにルールを知っていて、「すごーい、私」って思うんですよ、今。

海外の方は知らないですから。「サッカーしよう」って言っても、サッカーやってない子はできない、選択性なので。とにかくすべての授業が好きなことを選択するというやり方なので、日本はやっぱり、ボトムアップの教育なのかな。ある程度までみんな公平に引き上げてくれる。

私のお友だちの娘さんで、英語が100点満点中8点とかとってた子がいて、インターに行かせたんですけど、まぁ、自信がないんですよね。お勉強できなくって。そしたら体育ができるってことに気づきまして、「なんでお前はそんなにできるんだ?」って人気者になっちゃったっていう。

ほとんど、韓国もできないって言ってたし、中国もできませんし、やっぱりマルチでできるのって日本人なんですよね。だから、さっき言ってた運動会とかね。

講演録『世界の教育』しつもんカンファレンス

チャーリー : はい、そこでちょっと。

ひとつ、体育ができるって言ったじゃないですか。子どもたちって不思議と、体育ができたことで体育ができたことを褒めるじゃないですか? そうすると「何も私はできないんだ」って思ってた子が、「私は体育ができる」って自信を持つじゃないですか? そうすると、全部ボワッってできるようになるんですよね。そこをちゃんと大人たちは拾ってあげられるかどうかっていうのが、最大のポイントだと思うんですよね。

きょうちゃん : で、補足で言うと、その子は日本では体育ができなかったんです。だから目立たなかった、輝けなかったんですよね。

だから、何でもいいんですよ。なんか一つ秀でることができたら。日本の教育ってすべてを上げる? これ、すっごい難しいと思っていて、私なんかほんとできなかったし、息子たちもそうなんですけど。一つの得意なことを上げると、すべて学問って繋がっているので、絶対、苦手な教科がボトムアップされていくと思うんですよね。

せっちゃん : ですね。共感で聴き入っちゃった。

チャーリー : そろそろ、さっき皆さんがシェアしてたことで……

せっちゃん : 世界の教育ということを、最初に「どんなイメージですか?」とお聞きました。こちらのお話を聞く前に。今聞いたことの中でもいいですけど、そこらへんで、「こんなことをもう少し聞きたい」とか、何かありませんか?

チャーリー : 最初に話し合ったことでもいいですし、今まで話したことでもいいですし、掘り下げたいこと、広げたいことが何かあれば。なければそのまま進めちゃいますけど……。

 

少しずつでも教育を変えるには?

参加者 : 世界の教育をいろいろ知ってらっしゃるので、その教育の中から、今の日本の現状はどんなことがあったら変わっていくのか? 教育自体が変わっていくのか? それが大きく先生が変わるのではなくても、たとえば親が、とか教育に関わる人が、ちょっとでもこういうエッセンスを入れていくと、少しずつでもいいから変わるよね、ということが何かあれば、お聞きしたいです。

せっちゃん : 実際にやられていますよね、変えていっているというところで。

チャーリー : すごい、いっぱいありますが、僕は、やっぱりお母さんが変わるのがいちばんだと思います。その子を見れば、その家庭状況がどんな状況かなって、ある程度わかっちゃうんですよね。

やっぱり汚い言葉をしゃべってる子の親は、汚い言葉をしゃべってますし、親は子の鏡だって言うじゃないですか。

かおりん : グリーンスクールに行ったときの話を今、話したいなと思ったんですけど。グリーンスクールの主任の立場の先生の方に、いろんな質問をしてきたんです。

その中で「グリーンスクールの子たちはどんな夢を持っているんですか?」って質問をした方がいて。そしたら、こんな夢だよっていう答えではなく、「こうやって夢を見つけていくんじゃないのかなぁ?」という答えが返ってきて、それが素敵だなぁと思ったんです。

「小さい頃は自然の美しいものをたくさん見せるんだ」と。「たくさん見せて育てるんだ」と。「これ美しいね~、綺麗だね~、こんなんなってるよー」って。美しいものをたくさん見せて育っていくと、大人になったときに「あれ? あの美しかったはずのものが、こんなんなってるぞ! これはどうにかしなきゃいけない!」っていうことで、自分の中から情熱が出てきて、夢を見つけていくんじゃないかな?という話をされて。

そのときは軽く「なるほどー」と思ったんですが、日本に帰ってきてからすごい腑に落ちて、本当にそうだなーというのを実感して。それは自分の中でもいろんなことが起きたからだし、あと、私自身も、小学校、中学校のときにガールスカウトに入ってて、そのときにまさにそれをさせてもらってたんだなーというのを、すごく感じる機会があったんですよね。

そんなことを今思い出してお話したくなったんですけど、そういう自然だったり、地球環境のことも一緒に、身近な人と感じていくような機会があったら、ちょっと変わってくるんじゃないかなって思いました。

講演録『世界の教育』しつもんカンファレンス

チャーリー : それこそ、今日はしつもんのアレなんで、子どもに対してのしつもん一つにおいても、全然、子どもの成長って変わると思うんですよね。

なので、みんな「しつもん」というキーワードをお持ちなので、「あなた何やってんのーー!!」じゃなくて、しつもんの仕方によって、子どもが解き放つ瞬間が出てくるような、引き出すようなしつもんがあるはずなんです。一歩自分が引き下がって、「こんなしつもんをしたら、この子は最高なのになー」っていうのをちょっと考えてみると、全然難しいことではないような気がするんですね。

今日のこの集まりの「しつもん」というキーワードを、どのくらい使えるのか? きちんともう1回自分で考えてみると、もっともっと有効的にできるような場所が増えてくるんじゃないかなと思いますね。

せっちゃん : うん、そうですね。

きょうちゃんは、どうですか? できること。

 

得意を伸ばすことと、欠けていることへの気づき

きょうちゃん : ひとつはやっぱり、得意を伸ばす。『魔法の質問』の方はちゃんとできてらっしゃると思う。それぞれのいいところを認め、伸ばす。

うちの子は漢字ができなかったんです。ずーっと。「漢字が三重(さんじゅう)に見えてるんじゃないか?」ってくらい。いや、三重に見えてるっていうのは私の偏見なんですけど。「三重に見えてるの?」って聞いたら、「見えてない」って言ってたから、ただのバカなんだなって思ったんですけど。それはもう置いておいたんです。

レゴを作るのが好きだったから、ロボット教室に通わせたら、そこで、どんどん飛び級で上がっていったんですね。そうすると、漢字ができるようになってたんですよ。あら不思議で、ずーっと100点満点で10点とか、木偏の横に何かまた創って書いちゃうみたいな子だったんですけど。これ、シナプスなのかなー、何かやっぱり好きなことをやってアドレナリンが出てシナプスがつながる。何でもいいんですけど、運動でもいいんですけど。

チャーリー : シナプスって説明していただいて。

きょうちゃん : 脳の神経回路が繋がってくんじゃないかな?って思いました。いろんなことで、得意なことで刺激を受けることで、そうすると漢字ができるようになっていったっていうね。

さっき、欠乏の何とかっておっしゃってましたけど……

チャーリー : あーー、はいはい。

きょうちゃん : インターナショナルスクールの教育って、よく言われるのが「井戸に水を汲みに行く教育」、日本の教育は「水道をひねったら出てくる教育」って、よく例えられますが、日本のお子さんがインターに入ると、まったく英語できないのでほっとかれるんですね。

で、親が怒りに行きますと、先生が「何を言ってるんだ、自分で気づくまでどうしようもないじゃないか、この子何も言ってこないじゃん、なにもできません」て、報告書もなくほっとかれるんです。日本のお子さんはやめていく子も多いです。「なにもしてくれない」って言ってやめていくんです。気づきかなぁ……。

チャーリー : 「欠乏の神話」ですね。はい、

きょうちゃん&チャーリー : 「欠乏の神話」。

きょうちゃん : はい、「欠乏の神話」って、打ち合わせのときに出た話題で、すごい響いた言葉があるっておっしゃってた言葉なんですけど。この欠乏から生まれるものってすごく大事で、何か私は、今の日本には欠けているものなんじゃないかなーと思いますね。そこに気づかないと、絶対に変われない気がしています。

せっちゃん : あのー、やってあげるのがね、お母さんとか先生もそうですよね。やってあげるのが自分の役目とか、仕事と思っている方が多いですよね。

 

講演録『世界の教育』しつもんカンファレンス

(Part3へ続く)

撮影:寺前陽司、上田修司、清川佑介

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